南米最貧国が世界有数の産油国に=経済急成長の原動力エキセボ油田

ガイアナ北部の海域で見つかった油田(灰色の領域部)と二国の位置関係(6日付インヴェスチ・ニュースの記事の一部)
ガイアナ北部の海域で見つかった油田(灰色の領域部)と二国の位置関係(6日付インヴェスチ・ニュースの記事の一部)

 隣国ベネズエラからの領土合併危機に直面しているガイアナは、数年前まで南米最貧国といわれていた。だが、2015年の石油発見以来、国内総生産(実質GDP)が急成長を見せ、今では「新しいドバイ」として注目を集めている。そのことへの嫉妬が、隣国の強硬姿勢の裏に透けて見えると6日付インヴェスチ・ニュースなど(1)(2)が報じている。
 国際通貨基金(IMF)によると、ガイアナの経済成長率は22年に62・3%(総額153億6千万ドル)に達し、23年も38%増加して「極めて急速な成長を維持している」と予測されている。
 8年前、ガイアナ領土の2/3を占めるエセキボ地域沖合で数十億バレルの海底油田が発見されたことで、人口わずか80万人余りの小国が世界有数の石油輸出国に躍り出た。
 このことはベネズエラの関心を大きく掻き立てた。当時、ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領は、米国のエクソン・モービル社が200km沖合で石油を発見した海域がガイアナではなく、ベネズエラ領であると主張した。今月3日、国際司法裁判所で審理され、エセキボ地域の管理と支配権はガイアナにあるとの判断が下されたが、ベネズエラは同地域をめぐる主張を続け、国民投票を実施するなど、その立場を強化しようとしている。
 石油の発見前、ガイアナの主要な輸出品は金などの鉱物だったが、不当な業者によって金採掘が行われていたと見られている。
 世界銀行によれば、ガイアナは現在112億バレル以上の石油と約17億立方フィートの天然ガスの埋蔵量を持つ。昨年、石油は国の輸出総額の約88%を占めた。
 国際通貨基金(IMF)によれば、石油による繁栄はサービス部門の成長も支えており、農業、鉱業、採掘業も好調で、実質非石油GDP成長率は5・5%を維持すると予測している。
 中期的には世界銀行の予測では、マクロ経済の不均衡を生じさせることなく、24〜28年までの平均実質成長率が20%に達するとしている。
 中期的な経済成長の展望は良好であるものの、インフレや実質為替レートの上昇などのリスクも懸念されている。気象変動やコモディティ価格の不安定性も経済に悪影響を及ぼす可能性があり、これに対抗するため、世界銀行は国内経済の多様化と石油依存の軽減のための構造改革が必要だと強調している。
 石油による経済進展が貧困撲滅に十分でないことが問題視されている一方、教育分野では向上が見られている。22年には、ガイアナでは保育園および初等教育の入学率がそれぞれ91%と103%に達した。ただし、学習成果は依然として改善の余地があるとされている。

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