ルーラ、観光相と会談も更迭保留=15日の閣議会議で決定へ=リラやウニオンの圧力の中

ダニエラ観光相(Ministerio Do Turismo)
ダニエラ観光相(Ministerio Do Turismo)

 ルーラ大統領(労働者党・PT)は13日、ダニエラ・カルネイロ観光相と会談を行った。アルトゥール・リラ下院議長(進歩党・PP)とダニエラ氏の所属政党のウニオンからの圧力で、同氏の解任を求められていた大統領だったが、少なくも15日まで、解任は見送られた。13日付フォーリャ紙など(1)(2)(3)(4)が報じている。
 ダニエラ氏の観光相解任はリラ議長とウニオンが強く求めていたものだった。中道勢力「セントロン」の中心人物でもあるリラ議長は、現政権の政局調整(アルチクラソン)に強い不満を持ち、同グループのPPやウニオン、共和者(RP)などの大型政党への役職増などを求めていた。
 また、ウニオンは、ダニエラ氏の夫でリオ州ベルフォード・ロッショの市長ワギーニョ氏がウニオンのリオ州支部の運営をめぐる問題で対立して同党を離脱してRPに移籍。ダニエラ氏も離党届を出したことで、「観光省はウニオンの管轄」であると強く主張。離党が確実なダニエラ氏の交代を求めた。だが、連邦政府は「観光相はダニエラ氏個人のもの」とし、解任に難色を示していた。
 リラ議長は先週もルーラ大統領と会談を行い、圧力が強まっていた。そうした事情もあり、アルチクラソンを担当するアレッシャンドレ・パジーリャ渉外室長官(PT)もダニエラ氏更迭の可能性を認める発言を行っていた。ウニオンは下議数59人を誇る一大勢力でもあり、「13日の内にも閣僚交代の発表があるだろう」との報道が行われていた。
 13日、ルーラ大統領はプラナウト宮(大統領府)にダニエラ氏を招いて会談を行った。その場にはパジーリャ渉外室長官とワギーニョ氏も立ちあった。ダニエラ氏とワギーニョ氏は1時間強の会談後、取材陣に何も答えず、足早に去って行った。
 だが結局、この日は閣僚交代の発表は行われなかった。連邦政府によると、ダニエラ氏は少なくとも15日に行われる閣僚会議までは観光相に留まることも発表された。一方のダニエラ氏は会談後、SNSに「大統領に今後の観光相としてのプランを話した。共に観光を強化し、経済や社会の発展のために働きたい」と記している。
 ルーラ氏にとってダニエラ氏の存在は大きい。それは、昨年の大統領選で同氏とワギーニョ氏がルーラ氏を支持し、キャンペーンにも協力していたためだ。ダニエラ氏はリオ州の下議選でも最多得票を獲得。ボルソナロ前大統領(自由党・PL)の地盤が強いリオ州において、同夫妻の存在は強いパイプ役となっていた。
 また、ウニオンが観光相の後任として求めているセルソ・サビノ下議は、昨年の大統領選でボルソナロ氏支持を公言したのを始め、ルーラ氏に対して批判的な発言を行ってきていたことから反対する声もあった。
 リラ議長やセントロンは、ルイ・コスタ官房長官を更迭してフェルナンド・ハダジ財相を代わりに据えることや、ニジア・トリンダーデ保健相をボルソナロ政権時代に保健相候補に挙げられたルジミラ・アジャール氏に代えることなどを提案しているが、全て却下されている。

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