秘密予算違憲判決で下院と次期政権に亀裂か=リラ下院議長、判決へのルーラ介入疑う

リラ下院議長(Marcello Camargo/Agencia Brasil)
リラ下院議長(Marcello Camargo/Agencia Brasil)

 【既報関連】19日に最高裁で予算案審議時の報告官の裁量で払い出される議員割当金、通称「秘密予算」が違憲とされたことで、アルトゥール・リラ下院議長(進歩党・PP)とルーラ次期政権との今後の関係が注目されている。19、20日付現地紙、サイトが報じている。
 秘密予算はボルソナロ政権発足の2019年に導入されたものだが、使途が不明な上、連邦政府が承認させたい法案が審議されるときに与党側議員に数10億レアル単位で一方的に支払われる傾向があったため、メディアや世間からは「公開賄賂」との批判が起こっていた。最高裁も法的根拠や透明性を問題視しており、2021年には一時的に差し止め処分も受けていた。
 ルーラ氏も大統領選のキャンペーン中にたびたび秘密予算を批判し、廃止したいと考えていた。だが、リラ議長をはじめとする中道勢力「セントロン」が強硬に秘密予算の必要性を主張。セントロンが議会最大勢力であることから、ルーラ氏も政権移行の作業中に触れられない問題となっていた。
 ところが、19日に最高裁が、判事投票結果6対5と接戦ながらも秘密予算は違憲との判断を下したことで、連邦議会とルーラ次期政権との関係の雲行きが変わってきつつある。
 リラ議長は最高裁の投票が終わった直後、政党リーダーとロドリゴ・パシェコ上院議長(社会民主党・PSD)らを呼んで緊急会議を行った。リラ議長はこの会議で、最高裁で秘密予算の違憲を決定づける6票目を投じたリカルド・レヴァンドウスキー判事にルーラ氏自身が接近して影響を与えたのではないか、との疑念を持っていることも明かしたという。
 連邦議会側はパシェコ上院議長を中心に最高裁に根回しを行っていた。レヴァンドウスキー判事が判事投票をいったん差し止めた16日にはパシェコ議長自身が別件で議会を訪れた同判事と会い、記者会見まで開いた。リラ議長らは、ルーラ氏側がこの後、レヴァンドウスキー判事に働きかけを行ったのではないかとにらんでいる。
 リラ議長はその疑い故に、現在下院で審議中の「政権移行PEC(憲法補則法案)」の承認がさらに難しくなったと見ている。18日には最高裁のジウマール・メンデス判事が生活扶助(来年はボウサ・ファミリアに再改名の予定)関連の経費を連邦政府の歳出上限枠外に置くことを認める判断を下したものの、生活扶助支給額維持や児童手当支給、最低賃金調整などに使う歳出上限枠外支出の上限が、上院で承認した1450億レアルから1千億レアルほどに減らされる可能性があると見られている。
 上院で承認した案が変更された場合は再び上院に差し戻される必要があり、審議の内容やPEC承認から予算案承認までを含む日程も注目を集めている。

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