下院審議=財政均衡法案の妥協点探る=支出抑制や罰則など盛込む=政府が歩み寄り、来週投票

カジャード下議(Camara Dos Deputados)
カジャード下議(Camara Dos Deputados)

 財政均衡法案(アルカボウソ)の報告官を務めるクラウジオ・カジャード下議(進歩党・PP)が、原案に部分修正と「目標を守れなかった場合の罰則」などを加えた上で、下院での審議と投票にかける見込みが出てきた。16日付G1サイト(1)(2)(3)などが報じている。
 下院での審議にかけられるアルカボウソの最終案は、15日に連邦政府が行った会議でまとめられた。一つはルーラ大統領(労働者党・PT)が連邦政府の要人を集めて行った会議で、もう一つはフェルナンド・ハダジ財相(PT)がカジャード下議やアルトゥーラ・リラ下院議長(PP)らを集めて行ったものだ。
 最も注目された点は、「政府支出が一定限度を超えた場合に強制的に支出を抑制するためのメカニズム」、別名「ガチーリョ」の存在だ。制限もなく支出が膨らむのを避ける方法は、アルカボウソの基本路線が明らかになった直後に連邦議会と市場であがった要望だ。PT側はこれを嫌ったが、避けられないものとなっていた。
 ルーラ大統領は15日の会議でガチーリョが最低賃金の実質増とボルサ・ファミリアの支給には影響しないよう、改めて釘を刺しており、それが確認された案となった。これにより、歳入が思うように増えず、財政目標が達成できなくても、最低賃金とボルサ・ファミリアの支給額はインフレ率以上で調整されることが保証された形となっている。
 この結果、提出が予想されるアルカボウソは以下のようになっている。収入と支出の評価は隔月で行われ、連邦政府が財政目標を達成できた場合、公共支出は政府歳入の伸びの70%までの支出増が可能となる。つまり、政府歳入が2%増えたら、公共支出は1・4%まで増やせる。
 だが、財政目標が守れなかったら、公共支出は政府歳入の伸びの50%以下に抑えられる。また、どんなに歳入増が大きくても、公共支出増はインフレ調整後で2・5%までの伸びに抑えられる。歳入増がないまたは予算額を下回った場合の支出の伸びは0・6%+インフレ率となる。
 注目のガチーリョには二つのパターンが用意されている。まず、1年目の財政目標が守られなかった場合、連邦政府は「役職増設」「構造変革」「義務的支出の創設」「インフレ以上の支出調整」「新たな生活扶助や補助金、助成金の創設」「税制上の優遇措置の新設や延長」が禁止となる。
 連邦政府が2年連続で目標を達成できない場合は、「給与調整」「欠員補充以外の公務員の採用」「欠員補充以外の採用試験実施」が禁止される。
 連邦政府の財政目標は、「2024年に財政赤字ゼロ化、2025、26年は黒字化」となっている。
 アルカボウソの連邦政府案はこのようにまとまったが、下院での今週の投票は延期された。今週は17日にアルカボウソを部分的に承認するための投票が行われるのみで、法案自体の投票は来週行うことになる。現状では24日が有力だ。

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