ルーラ政権、セントロン取り込みへ=PPやRPと役職交渉=議会工作で苦戦した末

パジーリャ渉外室長官(Antonio Cruz/Agencia Brasil)
パジーリャ渉外室長官(Antonio Cruz/Agencia Brasil)

 中道勢力セントロンが連邦政府に接近し、閣僚の役職交渉に入っている。欧州訪問中のルーラ大統領が帰国し、連邦議会が再開するタイミングで進歩党(PP)や共和者(RP)の政治家の閣僚が誕生する可能性が高まっている。18日付G1サイト(1)が報じている。
 ルーラ政権にとり、連邦議会での過半数の勢力確保は発足当初からの課題だった。左派だけでは全体の3分の1ほどにしかならず、中道勢力の獲得は法案審議などにも不可欠な案件だ。これまでは社会民主党(PSD)、民主運動(MDB)、ウニオンから閣僚を選ぶことで対応していたが、これらの政党でもボルソナロ前政権の支持者が少なくなく、苦戦していた。
 アルトゥール・リラ下院議長(PP)は労働者党(PT)主導のアルチクラソン(政局調整)を不服とし、さらなるセントロン政党に閣僚職を与えることなどを提案していた。だが、現状以上のセントロン政党はむしろ保守色が強い上に、ジウマ政権がこれらセントロン政党の離反で崩壊したこともあり、PTとしても二の足を踏んでいた。また、世間的には汚職が多いというイメージも持たれている。
 だが、第1四半期で記録した予想以上のGDP成長や、財政均衡法案(アルカボウソ)や税制改革のための憲法改正補則案(PEC)など、フェルナンド・ハダジ財相による経済政策が功を奏したあたりから連邦政府とセントロンの歩みよりが見られるようになってきた。
 その契機はウニオンの党内騒動で解任を求められたダニエラ・カルネイロ氏に代わり、以前はボルソナロ派だったセルソ・サビーノ氏が観光相に就任したことだ。サビーノ氏は18日夜、「セントロンのイメージは良くなってきている。セントロンは国を良くするためのプロジェクトを推進するのに十分な票数を持っている」と、政権協力に積極的な発言まで行っている。
 アルチクラソン担当のアレッシャンドレ・パジーリャ渉外室長官(PT)はこの日、大統領府に閣僚候補のアンドレ・フフカ氏(PP)とシルヴィオ・コスタ・フィーリョ氏(RP)を招いて交渉を行っている。フフカ氏は社会開発相、コスタ・フィーリョ氏はスポーツ相への就任が予想されている。
 下院政府リーダーのジョゼ・ギマリャンエス下議(PT)はこの日、「PPやRPを連邦政府に迎え入れるセオリーは強化された」と、中道勢力の入閣人事を認める内容の発言を行っている。
 ただ、人事権はルーラ大統領が持っており、大統領がブラジルを離れている間に行われることはない。大統領は19日夜帰国したが、13日の時点で既に、人事の異動は連邦議会が再開するタイミングを待つとの意向を表明しており、正式な閣僚の任命、就任は8月に入ってからになる。
 ルーラ大統領も連邦議会との交渉を有利に進めるため、セントロンの受け入れは避けられないことを認めているが、問題は現在の閣僚から誰を切るかだ。現時点では発足当初からの閣僚交代はまだ1人のみで、誰も辞職を希望していないと言われている。

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