JICA日系サポーターが帰国=初本格実施事業の参加感想語る=次期参加応募は14日まで

 国際協力機構(JICA)が実施した日系社会研修員受入事業(日系サポーター)の研修生2人が日本での研修を終え、帰国した。同事業は2021年に始動したが、同年の研修はコロナ禍のため、2週間のオンライン研修のみだった。初の本格実施となる今回、研修生らは日本の生活で問題を抱える日系人の支援活動と自らの専門分野の学習を行った。研修に係る各種費用はJICAが支給した。次期参加応募締め切りは4月14日まで。

吉實フェリッペさん(提供写真)

 研修生の吉實フェリッペさん(よしざね、32歳、3世)は、岐阜県のNPO法人可児市国際交流協会で2022年6月19日~23年3月4日まで研修した。
 フェリッペさんは、ミナス・ジェライス州ベロ・オリゾンテ市生まれ。デカセギの親と共に、2歳から4歳、7歳から12歳までの計2回7年間を日本で暮らした。帰伯後も日本のバラエティー番組を見たり、地元の日本語モデル校に通ったりしながら、日本語を磨いていた。
 研修先では、小学校入学前や高校受験を控えた子供達の日本語サポートを行った。生徒にはブラジルやフィリピン、パキスタンの子供達が多かった。ブラジル人以外の子供には、英語を駆使して日本語を教えた。
 研修の感想についてフェリッペさんは、帰国した後も子供たちから「高校に受かった」などの連絡が届き、「それが滅茶苦茶うれしいですね」と満面の笑みで語った。
 今後は「ブラジル日本文化福祉協会が実施している日系子弟のためのネットワークプロジェクト活動に積極的に参加して、日系社会に貢献したい」と目を輝かせた。

井出リエさん(提供写真)

 井出リエさん(31歳、3世)は、22年10月10日から23年1月30日まで、島根県出雲市の塩冶幼稚園で研修を行い、他の幼稚園や小学校でも活動した。
 井出さんは、パラナ州マリンガ市生まれ。1歳の時に来伯し、25歳まで岐阜県大垣市に住んだ。帰伯後は教育関係の仕事に携わった。
 研修では、平日は日系ブラジル人の保護者と先生間の通訳、週末は中高生が集う地域活動に参加し、交流を支援した。
 井出さんは研修の感想について「研修を通じて改めて日本の教育意識の高さを感じました。今の子供達は情報も手に入れやすく、すごく創造力が豊かです。研修は3カ月間だけでしたが、毎日子供達から『先生』と呼んでもらえて、嬉しかった」と笑みを浮かべた。
 現在はマリアルバ日本語学校で教鞭を執っており、今後は「日本で学んだことを活かして、地域に日本文化体験が出来る場所を作る活動を行っていきたい」と語った。
 同事業の募集要項は次の通り。
 応募資格:23年4月1日現在で21歳以上であること。高等教育機関卒業以上の学歴を有すること。生活基盤が中南米の国で、国籍が中南米あるいは日本国であること。心身共に健康であること。
 日本語能力:日常生活に支障ない程度。ただし日本語能力を問わない研修コースは除く。
 手当て内容:往復航空費、国際空港使用料、滞在費、支度料、住居支度料、資料送付料、療養費、健康診断料。
 応募方法:規定の応募用紙に必要事項を記入し、必要書類と自己申請書を添付して在住国のJICA在外事務所に送付すること。選考はJICA日本国内機関と研修実施機関が合同で行い、JICA在外事務所を通じて結果通知を行う。
 募集詳細はJICAサイト(https://www.jica.go.jp/brazil/portuguese/office/trainings/nikkeis01_multicultural.html)まで。ブラジルの問合わせ先は、JICAブラジル事務所(電話=11・3251・2655)。

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