沈黙続けるボルソナロ、40時間以上声明出さず=他の閣僚が結果認める中=新政権への移行は始まる

大統領官邸内でのボルソナロ氏(twitter)
大統領官邸内でのボルソナロ氏(twitter)

 大統領選での落選決定後、ボルソナロ大統領(自由党・PL)は1日以上経っても沈黙を守り続けている。その間に他の閣僚たちが当選したルーラ氏(労働者党・PT)の政権準備に向け、動きを進めている。10月31日、11月1日付現地紙、サイトが報じている。
 10月30日のルーラ氏の当選決定後、国内外でルーラ氏の当選承認が続いたが、ボルソナロ氏は当初予想された当選反対を訴える動きもせず沈黙。落選が決まった夜は側近も近寄らせず、消灯した大統領官邸の中でひとり部屋にこもったままだった。
 翌31日も大統領は沈黙を守ったままだった。外からは官邸内での大統領の様子を捉えることができ、側近や閣僚の姿も見られ、話し合いも行われた。一部の報道によると、ボルソナロ氏はその会議の中で落選を認めるように勧められ、「結果に反論する意図はないが、ルーラ氏を祝う気持ちもない」と話したとされ、書面で声明を出すとの見方が広がった。この声明は11月1日午後4時現在も出ていない。
 大統領の沈黙に伴って、普段はネット上で支持を煽る立場の3人の息子たちも長く沈黙を保った。31日午後になり、ようやく長男フラヴィオ上議が「顔を上げ、ブラジルをあきらめずに進みたい」と、選挙結果を受け止めるような発言を行った。
 一方で、次政権への引き継ぎは他の閣僚たちの手で始まろうとしている。次期副大統領のジェラウド・アルキミン氏は10月31日にハミルトン・モウロン副大統領に電話をかけ、引き継ぎにはいつでも応じるとの文書に感謝し、より具体的な話し合いを行った。
 また、ルーラ氏の選挙参謀のエジーニョ・シルヴァ氏も同日、シロ・ノゲイラ官房長官に電話をかけ、引き継ぎの件について話している。エジーニョ氏によると、ノゲイラ氏も引き継ぎ作業には前向きに取り組む意向を示したという。
 連邦政府関係筋がCNNブラジルに語ったところによると、今回の選挙でボルソナロ氏の副候補を務め、陸軍大将でもあるヴァルテル・ブラガ・ネット氏が政府側の引き継ぎのまとめ役になると見られているようだ。ボルソナロ氏と関係の深い軍部も9月の時点で高官たちが「選挙での勝者が次期大統領」との見解を示しており、軍によるクーデターなどは考えにくい。
 また、パウロ・ゲデス経済相も、ルーラ氏当選に関しては何も語らないものの、同省の担当者を指名。ブラジル銀行や連邦貯蓄銀行(CAIXA)は既に、「新政権への移行を前向きに進めたい」との意向を発表した。
 ボルソナロ氏の推薦でサンパウロ州知事に当選したタルシジオ・デ・フレイタス氏は10月31日、ボルソナロ氏に関し、「落選は受け止めているはず」で「それは認めなければならない。国民の投票の意向は絶対だ」と、民主主義に従う重要性を語っている。
 引き継ぎ作業は、当選から2営業日以降に次期大統領が選んだスタッフ50人を現職官房長官が指名するという形で始まる。ルーラ氏は1日、アルキミン氏を引き継ぎ作業のまとめ役に氏名した。

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