《ブラジル》ルーラ「中絶には反対」を強調=福音派の女性票狙いか

ルーラ氏の選挙放送(Youtube)

 ルーラ氏は6日の選挙放送で、中絶に関しては「基本的には反対だ」とし、公衆衛生の問題として寛容だったこれまでの物言いを変えた。決選投票を睨んだ福音派対策とみられている。7日付現地サイトが報じている。
 ルーラ氏は6日の選挙放送で中絶に触れ、「私自身は反対だし、私と結婚してきた3人の妻もすべて反対だった」と語った。
 これは従来のルーラ氏の中絶に対する物言いや同氏に対して人々が抱いていたイメージと大きく異なり、多くの人を驚かせた。これまでのルーラ氏は中絶賛成派の印象を持たれていた。同氏は4月にも、「貧困地帯では中絶ができなかったために亡くなった女性もいる」と発言していた。
 ブラジルの場合、中絶は「妊婦に生命の危険がある場合」「強姦を受けた場合」「胎児が無脳症の場合」にのみ認められている。
 だが、ルーラ氏の発言の主旨は、現在の中絶規制を強めるという意味ではない。同放送の中でルーラ氏は「自分の身体のことを決めるのは女性だ」とし、「中絶に関しては大統領の一存では決められない。管轄するのは立法府だ」と語り、その意図を尊重するとしている。
 中絶に関しては、ルーラ氏の副候補のジェラウド・アウキミン氏も9月に出演したポッドキャストの放送で、「ルーラ氏も私も反対」と語っている。
 これは、ルーラ氏が弱いとされる福音派に対する対策だと考えられている。中絶に厳しいところを見せることで、それまで自身を支持できずにいた福音派の女性を説得したい考えらしく、福音派の諸教会宛の文書も出す予定のようだ。
 この戦略の背景には、これまでは中絶への強硬な反対派と思われていたボルソナロ氏が2000年の雑誌のインタビューで、当時の愛人で後の2人目の妻アナ・クリスチーナ氏との間にできた四男ジャイール・レナン氏に関し、「正直なところ中絶は考えた」と認め、さらに親権を認めず、DNA検査を求めていたことが報じられたことが掘り起こされたことなどもある。

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