ルーラ、大統領選当選認証を受領=演説では涙の瞬間も=「民主主義の勝利」を強調

授与式でのルーラ氏(Twitter)
授与式でのルーラ氏(Twitter)

 ブラジリアの選挙高裁で12日、ルーラ次期大統領(労働者党・PT)らに対する認証(ディプロマ)授与式が行われた。ルーラ氏が認証受領直後の演説で感極まって涙を流す一幕も見られた。これでルーラ氏が大統領選で当選したことが確証され、1月1日の就任を待つのみとなった。12日付現地サイトが報じている。
 ディプロマの授与式はアレッシャンドレ・デ・モラエス選挙高裁長官が取り仕切る形で行われた。会場にはローザ・ウェベル最高裁長官をはじめとする最高裁判事たち、アルトゥール・リラ下院議長、ロドリゴ・パシェコ上院議長、ルーラ次期政権で閣僚入りが予想される政治家などが集まった。
 モラエス長官は改めて、ルーラ氏が大統領選で当選したことを確認。ルーラ氏、そして次期副大統領のジェラルド・アルキミン氏に順次、ディプロマが授与された。
 その直後、ルーラ氏は会場からの「オレオレ、ルーラ」の掛け声と共に壇上に上がり、演説を始めた。ルーラ氏はジャンジャ夫人やPTの要人、政界、司法界に対する感謝を示した後、「このディプロマはルーラ大統領のものではない。民主主義を生きる権利を勝ち取った人々にとってのディプロマだ。あなた方が勝ち取ったのだ」と言い切った。
 ルーラ氏はさらに、「2002年にディプロマを授与された時のことを思い出しているところだ。あのとき、大学の卒業証書さえもらったことのない私に強い疑問を抱く人たちが多くて」と言ったところでルーラ氏は感極まって泣き始めた。会場が一斉に「オレ、オレ、ルーラ」で盛り立てた後、ルーラ氏は「だが、ここ数年の経験で、私も神が存在するのだと信じるようになった」と、ラヴァ・ジャット作戦での18カ月間の服役経験のことなどを振り返ったと思しき発言を行った。
 また、「今回の選挙では選挙高裁や最高裁までが威嚇行為にあった」「選挙方式への不信表明だけでなく、投票への妨害行為も行われた」「ネットで嘘が拡散され、憎悪の種も撒かれて、政治に暴力的な空気が流れた。だが、民主主義は勝った」と、名前を出さない形で、大統領選前後に行われたボルソナロ大統領やその支持者達の行為を批判した。
 ルーラ氏の後にはモラエス長官も演説を行い、「ブラジルでは(現行憲法制定以来)34年の民主主義サイクルを終えようとしている。その間に動乱がなかったという意味ではない」と語り、「過激なネット犯罪者達が伝統的なメディアを疑い、表現の自由と称して嘘を拡散するようになった。非民主的な人たちが過去最大となる投票システムへの不信感をなげかけた」と今回の大統領選を振り返り、「それを選挙高裁は守ってきた」と主張。会場にいた人々からは立ち上がっての拍手喝采が起きた。
 大統領選後、開票結果に不満を抱くボルソナロ氏の支持者たちは抗議活動を続け、軍関係施設の前で軍事介入まで求めている。だが、当選の正当性が宣言されたことにより、軍事介入する必然性が低くなり抗議の意味合いが薄れる、と現地メディアは報じている。

最新記事