《ブラジル》呼吸器疾患で小児科病床が満杯状態=薬不足も問題を深刻化?=新型コロナも増加傾向

インフルエンザの接種ワクチンの様子(Tomaz Silva/Agencia Brasil)

 秋から冬に移る時期は例年、呼吸器疾患の患者が急増する。だが現在、サンパウロ州では小児科病床が満杯状態に近く、救急外来での対応を一時的に停止する病院まで出ていると27日付現地紙、サイトが報じた。
 サンパウロ州では呼吸器疾患の子供で小児病床の使用率が満杯に近い病院が急増中。サンパウロ市公立病院の病床使用率は、25日現在で一般病室94%、集中治療室85%だった。24時間対応のメニーノ・ジェスス小児科病院では集中治療室の使用率が90%に達している。
 4月から病床使用率が高止まり中のサンパウロ総合大学(USP)付属大学病院では22日、小児病床が満杯で、患者を転院させるまでの6時間、救急外来を閉じる事態も発生した。
 小児病床が満杯状態である事の他に、医師らが問題視しているのは呼吸器疾患の治療用の薬不足だ。サンパウロ州では98・5%の薬局が薬不足で、内10・2%は公立の薬局だ。
 新型コロナも含む予防接種の実施率も問題になっている。インフルエンザの予防接種は実施率が低く、キャンペーン期間後も接種を続けている市が多い。サンパウロ市もインフルエンザの予防接種実施率が55%で、現在も継続中だ。
 サンパウロ州保健局は、小児病床使用率の高止まりは、新型コロナによる外出自粛でウイルスにさらされる機会が減った子供達が対面授業再開後、風邪や種々のウイルスによる感染症を起こして入院する例が増えたためとしているが、新型コロナの影響も小さくはない。
 その事は、オズワルド・クルス財団が先週出した報告書で、成人も含む重症急性呼吸器症候群の患者に占める新型コロナの感染者が8割に増えたと発表した事からも推測できる。
 新型コロナの感染者や死者の増加は19~25日(感染学上の第25週)の新規感染者が前週比で48・4%増の36万8457人(7日間平均で5万2637人)、死者が45・2%増の1359人(同194人)だった事でも明らかだ。
 ペルナンブコ州保健局は27日、新型コロナの死者の大半と入院患者の4分の3は各年齢層に勧められている予防接種を受けていないか完了していなかったと発表した。新型コロナの再感染は全年齢層で急増中で、補強接種の必要性が増している。

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