《ブラジル》幼年向け接種に否定的な大統領=追従する保健相に批判が噴出=承認したAnvisaに脅迫強まる

大統領よりの発言が目立つケイロガ保健相(Antonio Cruz/Agencia Brasil)

 国家衛生監督庁(Anvisa)が16日に5~11歳児向けの新型コロナのワクチン接種を承認すると発表後、ケイロガ保健相が公聴会や専門家による承認が必要だから、1月5日に結論を出すと言い始め、専門家からの疑問や批判が噴出した。また、大統領が「子供向けの接種を承認した担当者の名前を公表する」と発言した事などで、Anvisa関係者への脅迫が増し、同庁が連邦警察などに捜査や保護を依頼する事態も起きていると18~20日付現地紙、サイトが報じた。
 5~11歳児へのファイザー社製ワクチンの接種承認は11月から待たれており、承認と同時に子供用ワクチンの送付を求める自治体が続出したが、保健省は子供用ワクチンを購入しておらず、一部自治体が自分達で購入する意向を表明した。
 また、一部政党が子供への接種を国家予防接種計画(PNI)に加えるよう最高裁に訴えたため、リカルド・レワンドウスキー判事が17日、子供向け接種についての見解を48時間以内に表明するよう命じた。
 これに対し、保健相は18日、接種完了から補強接種までの間隔を4カ月に短縮する一方、子供への接種は公聴会開催と免疫化の技術諮問室(CTAI)の見解確認後とし、子供用接種をPNIに組み込むかは1月5日に決めると発表した。
 だが、CTAIは17日に全会一致で子供向け接種をPNIに組み込むよう求める事を決めており、保健相発言は矛盾と19、20日付メディアが指摘している。

 他方、16日の子供への接種承認後、ボルソナロ大統領が「子供向けの接種を承認した担当者の名前を公表する」と発言した事で、Anvisa関係者への脅迫が増加。
 大統領は19日にも、「Anvisaの決定は受け入れ難い」「子供への接種は親の了承と医師の処方箋が必要」などと発言しており、脅迫が激化する可能性がある。
 このため、Anvisaは19日、連邦警察や連邦検察庁、法務省、大統領府安全保障室(GSI)に、脅迫者の特定と同庁関係者やその家族の保護を要請した。
 保健相は20日、「CTAIの決定は聞いていない」「安全性確認が第一」「急ぐ事は敵」と発言。大統領がAnvisaの発表後にワクチンは「ごみ」などと評するビデオを流し、「子供の健康を損なったらどうする」と発言したのに同調する姿勢を示した。
 だが、予防接種も受けていない子供に対面授業が義務付けられている上にオミクロン株の感染者確認が続き、これまで以上に不安を感じている父兄も多く、1日も早い解決が待たれている。
 なお、レワンドウスキー判事は20日、政府の見解を表明する期限を1月5日まで延ばす事を了承した。

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