《サンパウロ市》偽配達人に殺された青年=別れの言葉さえなく逝く

偽配達人の記事の一部

 【既報関連】サンパウロ市南部のジャバクアラで起きた、バイクを使った偽配達人(モトボーイ)による強盗殺人事件の被害者の恋人が1日、事件を振り返り、「別れの言葉を交わす事さえできなかった」と語ったと2日付G1サイトなどが報じた。
 ブラジル中を震撼とさせた事件が起きたのは、4月25日の夜10時頃だ。バイト帰りで20歳の学生、レナン・シルヴァ・ロウレイロさんは、恋人を送るため、ジャバクアラ区の路上を歩いていた時、偽の配達人に襲われた。
 恋人によると、アクセル・ガブリエル・デ・オランダ容疑者は、銃を二人に向けてバイクから降り立つと、携帯電話を渡すよう求めた。
 レナンさんは跪いて「何も持っていない」と語ったが、容疑者が恋人に銃を向け、「携帯を渡せ、渡さないと撃つぞ」と言うのを見て立ち上がると、容疑者に立ち向かった。
 だが、容疑者はためらいもせず、レナンさんに銃を連射。至近距離から頭などに4発を浴びたレナンさんは、一言も発する事なく倒れ、息絶えた。
 防犯カメラの映像には、レナンさんが倒れたのを見た恋人が、携帯電話を犯人に投げつけた上でレナンさんに駆け寄った様子や、携帯電話を拾い上げた犯人がそのまま現場から逃げ去る様子が映っていた。
 警察はその後、犯人を特定。逃走中の犯人の自宅から犯行時に背負っていた配達用のカバンや銃などを押収した後も追跡を続けた結果、4月29日にオランダ容疑者が自首してきたため、同容疑者を逮捕。本人は犯行を認めている。
 恋人は1日、メディアの取材に応じ、「まだ生きているようにと願いながら駆け寄ったが、倒れた時には息はなく、別れの言葉を交わす事さえできなかった」と語った。
 レナンさんが結婚を前提に交際していた事を知っていた恋人は、「私がいなければ彼は絶対に歯向かったりしなかったはず。あの人はいつも傍にいて、愛情を注ぎ、私を守っていてくれた。これからどうすればいいのか、考え直さなければならないわ」と語った。
 警察によると、オランダ容疑者は23歳だが、盗みや盗品の売買に加担した嫌疑で10回もの前科がある。最初に身柄を拘束されたのは12歳の時で、事件当夜も、携帯を盗んで金に換えようと思っていたという。
 同容疑者は警察で、「レナンさんが歯向かい、自分に襲い掛かってきたから撃った」と供述したという。

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