《ブラジル》女性の参政権獲得から90年=今も政治家比率低く参加低調

30年代の女性の投票風景(Twitter)

 24日、ブラジル女性に正式な参政権が認められて90年が経過した。現地メディアは一斉にそれを祝う報道を行ったが、同時に、現在でも女性政治家が少ないなど問題が多いことを指摘している。24日付現地紙、サイトなどが報じている。
 1932年2月24日の改定選挙法裁可によって、正式な形で21歳以上の女性に選挙権と被選挙権が与えられた。
 女性の参政権が検討されたのはその時が初めてではない。1889年にブラジルが共和国として成立した後、1894年に行われた初の直接選挙でも女性の参政権が求められたが却下された。その後も女性の参政権を求める動きは続き、州条例などによる投票や出馬は認められたが、国レベルでの参政権はなかった。
 国レベルでの参政権獲得は約40年後の1930年代で、高名な動物学者で、時代を代表した女性活動家でもあったベルタ・ルッツ氏らの運動が結実。1932年の改定選挙法の内容は34年に憲法にも明記されたが、この時の投票は任意で、投票を義務付けられたのは公務員のみだった。

 だが、1933年にはサンパウロ州在住医師のカルロッタ・ペレイラ・デ・ケイロス氏が初の女性下院議員となり、36年にはルッツ氏も補欠繰り上げで下議となった。
 1946年には女性にも投票が義務付けられたが、この時はまだ、黒人女性や貧困女性は対象外とされた。文盲の女性たちにも選挙権が行き渡ったのは1985年だ。
 だが、女性の政治参加率は今日も高くない。ブラジルの有権者の52・5%は女性だが、選挙高裁によると、政党党員に占める女性の比率は45・3%だ。また、2018年の統一選で当選した女性議員は全体の16%、20年の市長・市議選でも女性当選者は15%のみだ。ブラジルの連邦議員の女性比率は国連参加国中142位でかなり低い。
 1994年にはロゼアネ・サルネイ氏が初の女性知事に、2010年にはジウマ氏が初の女性大統領に選ばれた。だが、現在の女性知事はリオ・グランデ・ド・ノルテ州のファッチマ・ベゼーラ氏のみで、今年の大統領選の女性候補もシモーネ・テベテ氏(民主運動・MDB)のみの見込みだ。
 24日には、選挙高裁と上院が女性参政権獲得の記念日を祝っている。

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