《ブラジル》ナチス擁護発言で人気のポドキャストが大炎上=日系の若手議員が火に油注ぐ

モナルキ(左)とカタギリ下議(Twitter)

 ネット上の放送「ポドキャスト」の人気司会者のブルーノ・アイウビ(通称モナルキ)(31)が、日系のキム・カタギリ下議(26、ポデモス)が参加した放送で反ユダヤ、ナチス擁護の発言を行い、大騒動となった。8、9日付現地紙、サイトが報じている。
 これは7日、ネット上の放送チャンネル「フロウ」で、モナルキがタバタ・アマラル下議(28、ブラジル社会党・PSB)とキム・カタギリ下議をゲストに迎えて行った番組で起こったことだった。
 モナルキはこの番組で、「急進左派は極右よりも表現の自由が制限されていると思う。僕の意見は君たちのより過激だ。ブラジルでもナチス主義を支持する政党があっても良いと思うんだ」と語った。
 これに対し、タバタ氏は、「表現の自由というものは、誰かの命が失われない限りにおいてのものだ。ナチスの場合はユダヤ人の大虐殺を行ったから、その限りではない」と反論した。
 だが、モナルキは自説を曲げず、「ユダヤ人が嫌いなら、そのことが認められる権利があってもいい」「君は反ユダヤ人なら抹殺してもいいというのか」と食い下がった。

 この流れでタバタ氏がカタギリ氏に質問をしたところ、カタギリ氏も「ドイツがナチスを法律で禁じたのは間違いだと思う」と発言し、事をさらに大きくした。
 これらの放送後、フロウに対しては批判が殺到。8日にはネット上もこの話題で持ちきりとなった。ユダヤ人の協会はこぞって不快感を示す声明を出し、サンパウロ州検察局も同問題の捜査を依頼したが、ことは全国規模に発展。人権省も発言を批判する声明を出し、連邦検察庁がモナルキとカタギリ氏への捜査を示唆している。
 モナルキはフロウの創設者で360万人の登録者を持つほど成功していたが、昨年も「人種差別の思想を持つのは犯罪か」を議題とし、物議を醸した。
 カタギリ氏は2018年に下議に当選する前から政治団体「ブラジル自由運動」(MBL)のリーダーとして知られ、ジウマ大統領の罷免運動を率いたことで台頭した。

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 8日は全国的にモナルキのナチス擁護発言のポドキャストが話題を独占していたが、今度はケーブル・テレビ局のジョーヴェン・パン・ニュースでナチス絡みのトラブルがあった。同局の番組にコメンテーターとして出演しているアドリレス・ジョルジェ氏が、ナチスがヒトラーに対して行っていた敬礼を番組中に行い、問題となったのだ。同氏はこの行為の前に、「ナチスは600万人のユダヤ人を殺したかもしれないが、共産主義者は1億人を虐殺した」とも語っていた。ジョーヴェン・パンは同件後すぐに、アドリレス氏を解雇した。同局や系列のラジオ局は、こうした問題発言が多いことで知られている。

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