《ブラジル》上議選でモロが恩を仇で返す=政治的後見人と一騎打ちに

モロ氏(左)とアルヴァロ氏(Twitter)

 元ラヴァ・ジャット作戦担当判事でボルソナロ政権元法相のセルジオ・モロ氏(ウニオン)が12日、パラナ州から上院選に出馬することを発表。一時は大統領選出馬も予想された同氏は、かつての政界の後見人と当選を争うことになった。12日付現地サイトが報じている。
 記者会見は12日、州都クリチーバのホテルで行われた。モロ氏は3月、ウニオン・ブラジルに移籍する際、拠点だったパラナ州からサンパウロ市に選挙区を移す登録を行った。だが、ホテルの住所を住居に選んだことを選挙地裁に問題視され、移動登録を却下された。
 これを受け、モロ氏はパラナ州に戻って上院選に出馬することになった。だが、そこではアルヴァロ・ジアス上議(ポデモス)と議席を争うことを避けられない。アルヴァロ氏はモロ氏の判事時代からの重要な後見人で、18年に同氏が大統領選に出馬した際にも、「当選の暁にはモロ氏を法相に」と公言。昨年11月にモロ氏がはじめて入党した政党もアルヴァロ氏との縁でポデモスだった。
 モロ氏は当初、同党の大統領候補と目され、世論調査も3位だったが、大政党であるウニオンが民主社会党(PSDB)と民主運動(MDB)との連立の大統領候補を探していると聞いて、ポデモス側に無断で移籍。だが、ウニオン幹部らの猛反対を受けて大統領選を断念。出馬先を求めた結果、今回の結論に至った。
 アルヴァロ氏は出馬表明をしていないが、上議再選を目指すことが確実視されている。会見でアルヴァロ氏について聞かれたモロ氏は、「彼は尊敬する人物。高いレベルで敵対するより、同士として争いたい」と語っている。同選挙区の上議の定員は1人で、同州知事の経験もあるアルヴァロ氏は過去3回連続で当選している。
 パラナ州では、モロ氏がラヴァ・ジャットの判事だった時に連邦検察庁ラヴァ・ジャット捜査班主任だったデルタン・ダラグノル氏が下議選にポデモスから出馬することが有力視されている。

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