「パンドラの箱」のようにコロニアのタブーが詰まった勝ち負け抗争を、なぜかブラジル人監督が映画化した。その名も『汚れた心』――。映画の冒頭では、現代日本ではほぼ使われなくなった言葉「国賊」が筆書きされ、知る人ぞ知るツッパンの「日の丸事件」をそのまま映像化したようなシーンで始まる。映画の前半は、まるでマリリア周辺のパウリスタ延長線の植民地を舞台にしたようなリアルな情景描写が続く。勝ち負け抗争をなぜブラジル人が映画化したのか。ヴィセンチ・アモリン監督(45)へのインタビューを中心に、この映画の意義を考えてみた(深沢正雪記者)。