ピットブル2頭が格闘家襲撃=生死かけた激闘の末制圧

ピットブルに襲われて怪我を負ったエルネストさん(Foto: Reprodução/Instagram @bocaomuaythai_ernesto)
ピットブルに襲われて怪我を負ったエルネストさん(Foto: Reprodução/Instagram @bocaomuaythai_ernesto)

 「殺されるかと思った」――日常トレーニングのジョギングが、突如として生死を賭けた激闘へと変わった。ムエタイの格闘家兼指導者のエルネスト・シャヴェスさん(33歳)が、歩道に放たれていた2頭の闘犬ピットブルに襲われる事件が発生し、飼い主の管理責任が問われていると1日付G1など(1)(2)(3)(4)が報じた。
 彼は咄嗟に応戦し、約5分間にわたる激しい攻防の末に犬を制圧したが、両脚や指などに複数の傷を負い、病院に搬送された。強靭な格闘技の技術を駆使してもなお、死を覚悟せざるを得なかったという。
 事件は6月29日(日)の午前9時半頃、マット・グロッソ・ド・スル州ポンタ・ポラン市で発生した。シャヴェスさんはイヤホンを装着してジョギング中で、犬の接近に気づかなかったという。「飛びついてきたので、遊びたがっているのかと思ったんだ。でも、ピットブルだと気づいた時には凍り付いたよ。攻撃だと分かって必死で逃げようとした」と振り返る。
 ムエタイの指導者として日頃から鍛錬を重ね、柔術の経験もあるシャヴェスさんは、犬の攻撃への対処法について一定の知識を有していた。それでも「本当に死ぬかもしれないと思った。ピットブルは非常に力が強く、到底耐えられないと感じた」と恐怖を語った。
 2頭ともメスのピットブル種で、歩道上に放たれた状態で突然背後からシャヴェスさんに襲いかかった。彼は犬の首輪をつかんで制止を試みたが、逆に倒されてしまった。およそ5分間にわたり地面で激しい格闘を繰り広げ、最終的に両方の犬を制圧することに成功した。
 騒ぎを聞きつけた地域住民が駆けつけ、ロープで犬を拘束し、現場に駆けつけた警察と消防によって2頭は確保された。シャヴェスさんは「警察が来るまで、犬を放すことなんてできなかった。2頭の鋭い歯が私の顔のすぐ近くにある状態で、じっとしているしかなかった。あれは本当に恐怖だった」と振り返った。
 シャヴェスさんは両脚部を噛まれたほか、右手の指を骨折するなど複数箇所に怪我を負い、病院に搬送された。日頃から身体を使う職業に従事しており、仕事への支障が生じていることに強い憤りを示しており、「命を落としてもおかしくなかった。生活にも仕事にも多大な影響が出ている。完全に飼い主の過失だ」と訴えた。
 警察は翌30日、犬が通常管理されている現場を訪れたが、飼育状況にも問題は確認されなかった。近隣住民の証言によれば、犬がいた倉庫の門は普段は常に閉ざされているが、事件当日は開いていたという。
 飼い主は警察の聴取に対し、「何者かが倉庫に侵入して盗難を試みた可能性がある」と述べており、その際に犬が敷地外へ出た可能性があるとの見方を示している。犬は敷地の警備目的で倉庫で飼われていた。
 事件は現在も捜査中であり、飼い主は「動物の飼育または管理における注意義務違反(omissão de cautela na guarda ou condução dos animais)」の容疑で責任を問われる見通し。同容疑は軽犯罪に分類されており、通常は簡易事件記録書(TCO)への署名をもって手続きが終了する形式がとられる。
 シャヴェスさんは襲撃が発生した現場周辺について「人通りが多く、妻も普段ここでウォーキングをしている。現場から約200メートルの場所には保育施設もある」と述べ、「万が一、対処できない人が被害に遭っていたら、死亡事故につながっていた可能性が高い」と強い懸念を示した。

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