リオの砂浜で〝墓穴〟掘る?=悪ふざけが命の危険招く

救出劇の様子(@X/Reprodução)
救出劇の様子(@X/Reprodução)

 「死ぬかと思った」――リオ市の名高い観光地コパカバーナビーチで4月26日、英国人観光客が自ら砂浜に掘った深さ2・4メートルの穴に埋まり、自力で抜け出せなくなるという衝撃的な事故が発生した。彼は肩から下が砂に埋まった状態で、3時間以上もその場から動くことができずにいた。野次馬を含む30人以上が集まり、最終的に消防隊の協力を得て救出作業が行われた。この一部始終を捉えた映像が今月16日にSNSで拡散され、瞬く間に注目を集めたと、17日付のG1など(1)(2)(3)が報じている。
 ロンドン在住のジェンセン・スタージョンさん(22歳)は、4〜5月初頭にリオを観光で訪れ、コパカバーナビーチで友人らとゲームの一環で穴を掘り始めた。
 現場に居合わせた目撃者の一人アラン・スミスさんは、ジェンセンさんがどのようにしてその状況に至ったのかを振り返った。「最初、彼は友人2人とともに素手で穴を掘っていた。私は近くにいて少し様子を見た後、フットバレーをしに戻った。その間も彼らは掘り続け、穴は次第に深くなっていった。誰かがスコップを貸して、さらに掘り進めたことで数分のうちに穴は巨大化し、彼が勢いをつけてその穴に飛び込んだんだ」と証言した。
 その瞬間、ジェンセンさんは穴の奥深くに沈み込み、もはや自力では脱出できない状態に。友人たちの助けも届かず、絶望的な状況に追い込まれた。
 アランさんは「彼が飛び込んだとき、穴の側面の砂が崩れ、彼の上に覆いかぶさった。彼の頭部は海面よりもはるかに下に位置し、いつ完全に埋まってもおかしくない状況だった」と振り返った。
 ジェンセンさんの救出には海水浴客や屋台の売り子、ライフーガードなど約30人が協力し、周囲の砂を取り除いたり、木材やロープを渡して引き上げようとしたが成功しなかった。ジェンセンさんはビーチの注目の的となり、脱水を防ぐために〝支援物資〟としてビールが手渡される一幕もあった。
 拡散された映像には、現場にいた野次馬の1人が、「とんでもないことをしたな。自ら墓穴を掘ったんだから」と呟く声が収められていた。
 最終的には消防隊が駆けつけ、ジェンセンさんは無事に穴の中から引き上げられた。
 ジェンセンさんはすでに英国に帰国しており、リオのテレビ局の取材に対し、「助けてくれたリオの皆さんには本当に感謝しているよ。必ずまた伯国に戻るつもりだ。今振り返ってもあの体験は夢のように感じる。あの時は本当に死ぬかと思ったんだ」と語った。
 この一件を〝夢のよう〟と語ったジェンセンさんだが、実際には極めて危険な状況だった。掘られた穴は非常に深く、彼の体は海面より下にあり、周囲に群がった見物客の重みで地盤が不安定化し、圧迫死の危険性も指摘された。

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