【30日の市況】Ibovespaは前日比0.02%安の13万5,066.97ポイント=ドルは8営業日ぶりに上昇して0.83%高の5.676レアル

 4月最終取引日となった30日、ブラジルの代表的な株価指数であるイボベスパ指数(Ibovespa)は、小幅な下落で取引を終えた。終値は前日比0.02%安の13万5,066.97ポイントで、わずかに26.02ポイントの下落にとどまった。7営業日連続で続いていた上昇基調はここで一服したが、指数は取引終盤まで強さを保ち、一時はプラス圏へ転じる場面もあった。
 とはいえ、4月全体としては3.69%の堅調な上昇となり、3月の6.08%の上昇に続く好調な推移が続いた。

 為替市場では、米ドルがブラジルレアルに対して8営業日ぶりに上昇し、終値は0.83%高の1ドル=5.676レアルを記録。月間では0.54%の下落となった。金利先物(DI)も全般的に低下し、4月は平均で6%以上の下落を記録した。

米国経済指標に動揺──GDP予想外のマイナス、PCEは予想通り

 投資家にとって4月30日は情報の洪水とも言える日となった。最大の注目は、米国の2025年第1四半期(1-3月期)のGDP速報値である。結果は前年比0.3%減と予想外のマイナス成長。企業が関税上昇への懸念から輸入を前倒ししたことで、輸入が急増し、GDPにマイナスの影響を与えたとみられる。
 米国のトランプ大統領はこの結果を巡って、前任のバイデン大統領を批判。自らの政策が要因ではないと主張したが、市場では混乱を招いている。
 サンオ・リサーチのチーフエコノミスト、グスタボ・スン氏は、「輸入の増加と政府支出の減少がGDPの押し下げ要因となった」と分析。輸入の急増は新たな関税措置への備えであると指摘した。
 同日発表された個人消費支出(PCE)価格指数は3月に横ばいで、市場予想通りとなった。これは米連邦準備制度(FRB)が最も重視するインフレ指標であり、利下げ期待に一定の安心感を与えた。なお、米国の4月の民間部門雇用者数は6万2,000人と、市場予想の11万5,000人を大きく下回り、景気の減速感が浮き彫りとなった。

欧州と中国も混在、世界経済に不安感

 欧州ではユーロ圏のGDPが予想を上回ったものの、ドイツでは失業率が上昇するなど、明暗が分かれる展開。主要株価指数もまちまちとなり、欧州市場全体としては2カ月連続の下落となった。
 中国においては、4月の製造業購買担当者景気指数(PMI)が49.0と50の節目を割り込み、2023年12月以来の低水準となった。すでに米中間の通商摩擦の影響が見え始めており、中国政府は民間部門強化のための法整備を急ぐ姿勢を示している。

国内経済は改善傾向も、雇用統計に不安

 ブラジル国内では、1〜3月期の失業率が7.0%と、同期間としては過去最低水準となったが、前期比ではやや上昇した。また、ブラジル中央銀行によれば、3月の政府部門の財政は黒字を確保し、政府債務はGDP比で75.9%まで低下した。
 一方で、3月の正規雇用者数は7万1,576人増と、予想されていた20万人増に届かず、市場に失望感をもたらした。

業績相場本格化──個別株は明暗くっきり

 企業の第1四半期決算も相次いで発表され、相場に影響を与えた。資源株では、鉄鉱石価格下落を背景に中国での鉄鋼生産減少の観測が強まり、ヴァーレ(Vale)は1.82%安。国際原油価格の下落を受けて、ペトロブラス(Petrobras)も1.87%下落した。
 航空会社アズール(Azul)は資金調達報道もむなしく、大幅安の15.52%を記録。4月単月では実に55%超の下落となった。
 一方で、エレトロブラス(Eletrobras)は、政府との和解や配当発表、新たな取締役会構成が評価され、2.17%の上昇となった。銀行株は好調で、サンタンデール(Santander)は市場予想を上回る業績を受けて3.94%高。反対に、産業機器メーカーのWEG(WEGE3)は業績が市場期待を裏切り、11.55%の急落を見せた。

ドル相場、終盤にかけて上昇──月末要因と経済指標の影響

 30日の外国為替市場では、Ptax(取引最終値平均)算出を巡る思惑や、米中の経済指標への反応が交錯した。序盤は売り優勢で、一時は5.6037レアルまで下落したが、その後は買い戻しが進み、終値は5.6763レアルと0.81%の上昇。
 為替市場では、米国の弱いGDPと雇用統計、さらには中国のPMI低下を受け、リスク回避姿勢が強まったとの見方も多い。市場参加者の間では、翌日の祝日(メーデー)を控え、ポジション調整の動きも観測された。
 4月の為替市場は、高値で5.9985レアル、安値では5.6290レアルと、約37センターレアルに及ぶボラティリティの高い展開となった。
 米国の通商政策を巡る不透明感が市場の主な波乱要因となっており、トランプ政権は一部の関税措置を緩和する動きを見せつつも、中国との摩擦は依然継続中。加えて、米連邦準備制度(FRB)のパウエル議長に対する大統領の批判的発言や更迭の噂などが、投資家心理を冷やした。

イボベスパの主な騰落銘柄

 月間の上昇率上位には、国内消費関連株が並んだ。スーパーマーケットのGPA(PCAR3)は36.89%高でトップ。IT企業LWSA(LWSA3)、教育関連のYduqs(YDUQ3)やコグナ(COGN3)なども20%を超える上昇となった。
 一方で、アズール(AZUL4)は大規模な資金調達失敗などを受けて55.32%の下落で、月間で最大の下げ銘柄となった。石油関連のブラバ(BRAV3)も24.85%下落し、資源エネルギー株に逆風が吹いた。

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