【3日の市況】トランプ関税の衝撃が世界に広がる中で=Ibovespaは0.04%の小幅下落で131,140.65ポイント=ドルは1.23%安となり5.629レアルに

 4月3日木曜日、長らく準備されてきた関税がついに前日に発表され、世界の金融市場と地政学に激震が走った。リスク選好の低下により、世界中の投資家の間で悲観ムードが広がり、市場は大きく混乱した。
 しかし、全ての市場が同じように大きく揺れたわけではない。ブラジルでは、Ibovespa(ボベスパ指数)が大きく乱高下しながらも、最終的には0.04%の小幅下落で取引を終えた。終値は131,140.65ポイントと、わずか49.69ポイントの下落にとどまった。場中では一時132,500ポイントまで上昇したが、下落局面も何度か経験した。
 一方で、米ドルは世界的な下落を背景に対レアルで1.23%安となり、1ドル=5.629レアルで取引を終えた。ブラジルの長期金利(DIレート)も全面的に低下し、市場はリスクプレミアムの減少を示唆した。

「近代史上最悪の経済的誤り」との批判も

 今後数日間で、各国の反応次第ではさらに事態が変化する可能性がある。しかし、すでに市場は今回の発表を「予想以上に悪いもの」と受け止めた。英『エコノミスト』誌は、この関税を「近代史上最も深刻で有害かつ不必要な経済的誤り」と断じ、「破滅の日」と表現した。
 カナダは即座に反応し、新興国市場も「転換点」に備え始めた。中国と欧州連合(EU)は強硬な報復措置を警告している。
 国際金融コンサルティング企業deVere GroupのCEOナイジェル・グリーン氏は「この関税政策は、スマートフォンから食料品に至るまで、日常的な数千の製品の価格を押し上げるだろう。そして、すでに根強いインフレをさらに悪化させる」と指摘する。
 また、世界第2位のコンテナ輸送企業であるマースクは、「今回の関税措置は非常に大きなものであり、現在の形では明らかに世界経済、安定性、貿易にとって好ましくない」とコメントした。
 世界貿易機関(WTO)は、関税の影響で世界の貿易量が1%縮小すると試算。米連邦準備制度理事会(FRB)は、「主要産業に広範な混乱を引き起こす可能性がある」と警鐘を鳴らしている。
 エコノミストのセルジオ・ヴァレ氏(MB Associados)は、「最終的な被害者は米国の消費者になるだろう。今後数カ月間、多くの製品の価格が大幅に上昇し、それが長期にわたる可能性が高い。トランプ氏がこの政策を撤回することは考えにくい」との見解を示した。
 さらに、多くの専門家は、今回の政策決定があまりに単純な計算に基づいている点を問題視している。

世界市場に広がる「関税ショック」

 市場への影響は壊滅的だった。欧州市場も大幅に下落し、米国市場ではS&P500、ダウ工業株30種平均、ナスダックの3主要指数がいずれも過去2年間で最大の下げ幅を記録。特にナスダックは6%近く急落した。

ブラジルの対応は?

 ブラジル政府は、「経済を守るため、あらゆる適切な措置を講じる」とし、連邦議会で可決された「貿易相互主義の原則」に基づいて対応する方針を示した。
 ブラジルの投資会社XPのレポートによれば、「ブラジルに対する関税は他国に比べて穏やかだった。しかし、すべての輸入品に対して10%の基本関税が課されるため、特定の輸出品には影響が出る可能性がある」と指摘する。
 ただし、ブラジルにはチャンスもある。XPのチーフストラテジストであるフェルナンド・フェレイラ氏は、「コモディティ輸出産業、特に農業部門は恩恵を受ける可能性がある。また、中国が対抗措置としてインフラ投資を加速すれば、ブラジルと中南米地域への投資が増える可能性もある」と分析する。

株式市場の反応:資源株急落、銀行株上昇

 木曜日のブラジル株式市場では、コモディティ関連株が大幅に下落。鉄鉱石価格の下落を受け、ヴァーレ(VALE3)は3.62%安。国際原油価格が6%以上下落したことで、ペトロブラス(PETR4)も3.32%下落した。
 石油関連の中小企業はさらに大きな打撃を受け、ブラヴァ(BRAV3)は7.18%の急落。OPEC+が5月の増産を発表したことで、原油価格の先行き不安が増した。
 一方で、銀行株は堅調だった。イタウ・ウニバンコ(ITUB4)は1.78%上昇、ブラデスコ(BBDC4)は1.92%上昇。B3(B3SA3)は外国投資の流入期待から2.50%の上昇となった。
 また、小売業も恩恵を受けた。金利低下の影響で、マガジン・ルイザ(MGLU3)は5.45%上昇し、ロジャス・レネール(LREN3)も2.24%上昇した。

今後の展望は?

 関税ショックに加え、金曜日には米国の雇用統計(ペイロール)が発表され、さらにFRB議長ジェローム・パウエル氏の発言が控えている。この混乱の中、市場がどのように立ち直るかが注目される。

「ドルの信頼性に対する危機」との懸念も

 国際金融市場では、関税の影響でドルの信頼性が揺らいでいる。ブルームバーグによると、ドイツ銀行は「より広範な信頼の危機」に警鐘を鳴らしており、シティグループはユーロ高を予想。「欧州の企業利益への影響は米国より軽微であり、ユーロは1.15ドルまで上昇する可能性がある」と指摘した。

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