17日火曜日、ドル相場は激しい変動の末、最終的にはほぼ横ばいで取引を終えました。この日、ドルのスポット相場は史上最高値となる6.20レアルに達しましたが、その後下落し、午後の取引では一時マイナス圏に入りました。最終的にはわずか0.10%上昇して、6.0982レアルで取引を終了。これは名目上の史上最高値です。
日中の最大値は6.207レアルを記録しました。この値動きを受け、ブラジル中央銀行(BC)は2度目のドル売りオペレーションを実施し、計20億1500万ドルを売却。これによりドル相場は一時的に下落しましたが、13時時点では6.169レアル付近で推移していました。午後にはさらに値を下げ、取引終了直前には再び上昇して6.0982レアルで終了しました。
為替市場の注目点:財政政策と中央銀行の介入
市場の注目を集めたのは、ブラジル連邦議会で進められている財政パッケージと税制改革の審議です。特に、下院議長アルトゥール・リラ氏が税制改革と財政パッケージの一部であるPLP210を本日中に採決すると発表したことで、午後のドル相場は一時的に下落しました。
さらに、ブラジル中央銀行は日中の2度のオペレーションで市場に介入し、計32億ドルを売却。このうち1回目は早朝に12億7200万ドル、2回目は午後に20億1500万ドルを売却しました。また、2025年2月3日満期の伝統的為替スワップ契約を1万5000件全て売却しました。
ただし、市場アナリストたちは、これらの介入は根本的な問題解決にはならないと警鐘を鳴らしています。Empiricus Researchのアナリスト、マテウス・スピエス氏は、「単なる為替介入では状況を変えられない。今すぐ必要なのは金融引き締めと財政改革だ」と指摘しています。
投資家心理とドル相場の変動
ドル相場が史上最高値を記録した背景には、ブラジルの財政状況への懸念が影響しています。政府が議会に提出した財政パッケージは市場から「不十分」と見なされており、歳出削減策の承認が得られなければ、財政赤字がさらに拡大するリスクが高まっています。政府関係者は、これ以上の提案は難しいとする一方で、財務省次官のダリオ・ドゥリガン氏は、「パッケージを骨抜きにせず、議会で承認可能な妥協点を見つける必要がある」と述べました。
これにより、午後のドル相場はやや落ち着きを見せ、最安値は15時8分に記録した6.0614レアル(0.50%下落)でした。その後、相場は再び持ち直し、取引終了直前に上昇に転じました。
金融政策の影響
この日の取引では、ブラジル中央銀行が発表した金融政策会合(Copom)の議事録も注目を集めました。議事録では、先週の会合で政策金利(Selic)が1ポイント引き上げられ、年率12.25%となった背景や、来年も同様の利上げが2回予定されていることが明らかにされています。また、中央銀行は、為替やインフレ率、市場予測などの悪化が金融引き締めの効果を弱めているとの見解を示しました。
さらに、国際的な要因として、米連邦準備制度理事会(FRB)が翌18日に発表する政策金利の決定も注目されています。FRBは広く予想されている通り、政策金利を0.25ポイント引き下げると見られています。
このように、国内外の要因が複雑に絡み合う中で、ブラジルの為替市場は引き続き大きな変動が予想されます。市場関係者によれば、「今週の議会での採決次第では、ドル相場が再び急騰する可能性もある」とのことです。