10月にサンパウロ市で開催された「第一回ブラジル寿司コンペティション」で審査員長を務めた小川洋利さん(51歳、千葉県)は、国際すし知識認証協会理事、農水省任命の「日本食普及の親善大使」などを務める寿司の専門家だ。
小川さんは、1991年に大阪あべの辻調理師専門学校を卒業後、東京の老舗料理店で住み込み修行。その後、料理人として数々の寿司店を渡り歩き、98年にオーストラリアの全日空ホテルシドニーに入社。2003年には東京に「小川寿司」(東京都江戸川区所在)を開業した。2012年に日本の寿司文化を全世界に広める為、「すし知識海外認証制度認定講師」の道に進み、現在では、世界50カ国以上を巡り、寿司文化の普及に尽力している。
小川さんが初めてブラジルに来たのは2012年。既に20回近く来伯しているという。昨今のブラジル日本食界隈についての印象を聞くと、「日本食ブームが起き、料理人は刺身や寿司などを提供する機会が増えていますが、そうした中で、お客様に安全に料理を食べていただくための知識と技術を学ぶ必要性が高まっています」と述べた。
小川さんは過去に、日本のどっきりバラエティー番組「ぶっこみジャパニーズ」の出演経験がある。同番組の内容は、日本が誇る「和のカリスマ」が、海外に存在する「ニセジャパン」の現場に潜入し、正しい日本文化を指導するというもの。小川さんは、メキシコの「なんちゃって寿司」店に潜入し、「日本の寿司」を指導した。
小川さんは「今後、日伯両国の海産物の輸入品規制が穏和され、ブラジルに住む方がより色々な種類の日本食が楽しめることを願っています」と語る。
また、今回初開催されたブラジル寿司コンペティションについて、「ブラジルで水産物への関心が高まっている中、沢山のスポンサーが集まり、盛大に開催できた事を大変嬉しく思います。これを新たな第一歩としてこれまで以上により良い大会にしていきたいと思います。こういった活動でさらに日伯交流が盛んになり、若い世代にも日本の素晴らしい文化を継承してほしいですね」と語った。