JICA協力隊員リレーエッセイ=ブラジル各地から日系社会を伝える(28)=最北州唯一の日本を知る場所のために=ロライマ日伯協会 古里祐佳

古里祐佳さん(手前右)。お昼ご飯にうどんを作った際の様子

 ロライマ州ボアビスタ市、ロライマ日伯協会で日本語教師として活動している古里祐佳です。
 任地に来てから早いもので半年が経ちました。ここはブラジル最北州、サンパウロからは飛行機を乗り継ぎ約7時間かかります。赤道以北に位置しているため年中暑く、日中を通しても朝から夜までずっと暑いです。日々太陽のパワーを感じながら生活しています。きっと2年間一度も「寒い」と言うことはないです。一旦寒さからの卒業です。
 赴任した当初は雪国青森の出身である私の暑さ耐性がなく、慣れていないからなのか?と思っていました。しかし、私と同じように現地の人もしっかり暑いと感じているようで、先生や生徒、保護者の人と会った時にはいつも「おはよう、今日も暑いね!」「先生元気?暑いね!」という会話になります。ここでは挨拶と暑いはセットなのです。
 また、ロライマ州の有名なものと言えば「タンバキ」「ピラルク」といった川魚です。丸々一匹焼いたものやチーズ、バナナ、ご飯のワンプレートになっているものなど、日本にはない魚で様々な魚料理を楽しむことができます。

みんな大好きタンバキの丸焼き

 みんなでご飯を食べる時には魚料理があることも多く、生徒の中でも「肉よりも魚の方が好き!」という人もたくさんいます。また地元の魚レストランも常に賑わっています。そのくらい現地の人にとって魚は身近で愛されている食べものだと感じました。
 配属先であるロライマ日伯協会は2008年に設立された日系団体です。他の日系団体と比較すると、その歴史は若く今年で創設16年目を迎えました。そしてここに至るまでにはたくさんの人の強い想いがありました。
 ロライマ州には1955年に12家族が入植しました。この初めに入植した方々は、「日本文化を守り、残したい!そのために日本語学校をつくりたい!」と当時から思っていたそうです。
 しかし、熱帯病に苦しんだり、仕事である農業は気候に適していなく上手くいかなかったりなどと、当時は生きることに精一杯だったため実現させることは難しかったそうです。
 しかしそれから長い年月が経っても想いはなくなることはなく、ブラジル移民100周年である2008年を機に、ついに設立することができたのです。
 日本語学校の運営に加えて空手や合気道、七夕祭りなどの文化活動も行っています。現在約40人の日系・非日系の生徒が通っており、私が来てからは幼児クラスも開設されるなど幅広い年齢の学習者が学んでいます。
 授業は月曜日から土曜日にあり、土曜日のお昼は生徒や保護者の人たちと一緒に食べる時もあります。家で作ってきたものを持ちよる日もあれば、授業後にみんなで作る日もあります。
 これまでカレーライス、お好み焼き、うどんなどを作りました。みんなで作り、色々な話をしながら食べるご飯は美味しく楽しいです。
 日頃から先生や生徒、保護者の人たちはみんな距離が近くコミュニケーションも活発です。行事の時には、会議、準備や片付けなど最後までみんなで行っています。
 私はこれが“大切な行事をみんなで作り上げる”とみんなが思っているようで嬉しく、大好きなところの一つです。これからもみんなでたくさんのことを一緒に行っていきたいと思いました。
 この半年間を経て思ったことは、配属先であるロライマ日伯協会は生徒だけではなく地元の人にとっても大切な場所であるということです。ロライマ州で唯一の日本語を学ぶことができ、日本を知ることができるこの場所のためにこれからも日々の活動を頑張っていきます。

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