ブラジリア=発達障害者の日本語教育研修=「そうだったのか」と感動

前列中央が川村怜子JICA次長、右側へ森岡隊員、矢田正江理事長

 ブラジリア日本語普及協会(矢田正江理事長)は第39回一都五州日本語教師合同研修会を1月27~28日、首都ブラジリアの日本語モデル校で『発達障害者の日本語教育』をテーマに開催し、16人の教師が参加した。
 27日、最初に根本和幸一等書記官が「ブラジリア日本語モデル校には何名か、発達障害を持ちながら日本語を学んでいる生徒がいると聞きました。発達障害をもつ生徒が日本語に親しみ、『日本語の勉強が楽しい』と話してくれる。この言葉にとても励まされるというお話を矢田先生から伺い、感銘を受けた」と挨拶した。
 さらに川村怜子JICA次長は「森岡隊員は普段みなさんと同じように日本語教育に携わっていますが、日本で長く教師として発達障害児と関わった経験があることから、講師として適任と考え、ブラジリアに業務出張として派遣しました」と説明した。
 その後、講師のJICA海外協力隊員の森岡弘子さん(アチバイア日本語学校勤務)が、午前中に「発達障害者について」、午後から「発達障害事例研究A(自閉症スペクトラム)」を講演した後、アンケートの事例を元にグループ討議・発表・意見交流、その後「発達障害事例研究B」などを行った。
 翌28日の午前中は同講師が「やる気のない学習者への対応(特に低学年)」、所感・講師講評・まとめを行い、ゴイアニア日本語モデル校、アルカージ日本語学校、タグアチンガ日本語学校、バルジェンボニータ日本語学校、アライアンス日本語学校、ブラジリア日本語モデル校の受講者が感想を述べた。
 参加した教師からは、《「教室から出ていく」「用具の取り合い」「友達とケンカ」「手が出る・足も出る」などの子供たちの行動に大変困っていたので、興味あるテーマでした。「困ったことをする人は実は困っている人」という言葉で「確かに!」と納得。いかにその気持ちに寄り添った支援をしていくかが大事なのだと改めて思った》
 《今回の研修会で講義やグループでの話し合いのすべての瞬間、瞬間が感動的なほど「わーそうか、そうだったのか、そう考えるといいのか」の繰り返しだった》《学習者だけでなく、家族や友人、自分もそうじゃないかと思えるぐらい身近に感じた講義だった》などの感想が述べられた。
 矢田理事長は「日本語学習者同士がとても仲の良い雰囲気なので、発達障害を持つ生徒からも授業が楽しいとか落ち着くという声を聞いています。日本語を勉強すると心が温まり、落ち着きが出るとの評判があります。とはいえ、先生の方からも『どう対応していいか分からない』という声も上がっていて、川村次長に相談したら森岡先生を紹介してくれました。おかげで参加した教師は皆勉強になったと喜んでいたので、本当に良い研修会になりました」と喜んだ。

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