マリエレ事件=新司法取引で首謀者解明へ=法的特権所有者が標的に

マリエレ・フランコ元リオ市議(23日付オ・グローボの記事の一部)
マリエレ・フランコ元リオ市議(23日付オ・グローボの記事の一部)

 【既報関連】リオ市議だったマリエレ・フランコ氏を射殺したとして告発された元軍警のロニー・レッサ被告が、連邦警察との司法取引に合意した。事件の捜査が2023年2月に連邦警察に引き継がれた後、レッサ被告が事件の首謀者を明らかにするための段取りは着実に進行していた。殺害から丸6年となる3月14日を前にして、事件解決に向けてさらに進展する可能性がある。23日付オ・グローボ(1)が報じている。
 23年末、レッサ被告は遂に、司法取引に署名することを決断した。しかし、司法取引を認めるか否かの判断が高等裁判所(STJ)に委ねられていることから、事件の首謀者が法的特権(FP)を有している可能性が浮上している。
 オ・グローボのコラムニスト、ラウロ・ジャルジン氏によれば、レッサ被告の証言が事件に終結をもたらす可能性がある。ただし、そのためには、同被告の提供した情報が機密捜査特別グループ(Gise)の特別捜査官によって確認されなければならない。Giseはマリエレ氏とその運転手のアンデルソン・ゴメス氏の殺害事件のような、複雑な案件の解決に特化した特殊部隊だ。捜査当局は、内部告発者の情報が真実であるかを慎重に検証する必要がある。
 レッサ被告の前には同被告の共犯者で元軍警のエルシオ・デ・ケイロス被告も司法取引を行っており、リオ州会計監査局参事官のドミンゴス・ブラゾン氏がマリエレ氏らの殺害に関与していたと供述していた。同氏は法的特権を有しているため、レッサ被告が同氏の名前を出した可能性がある。ブラゾン氏は司法取引前にも州検察局や連警など、複数の機関の捜査対象となっていたが、決定的な証拠がなく、有罪判決は下っていなかった。
 連警は、リオ市警がマリエレ事件の初動捜査に真摯に取り組んでいたかどうかを調べる、「捜査の捜査」を行なった。19年、当時の警察署長で、現在はリオ州の連邦警察監督官のレアンドロ・アルマダ氏によって、600ページに及ぶ報告書が作成された。
 徹底的な捜査の結果、アルマダ氏は、民兵(ミリシア)のオルランド・オリヴェイラ・デ・アラウージョ(通称クリシカ)が実行犯で、事件当時は市議だったマルセロ・シシリアーノ氏がマリエレ事件の首謀者だという告発はでっち上げだったことを証明した。報告書は、当時の軍警ロドリゴ・ジョルジ・フェレイラ(通称フェレイリーニャ)が、元上司であったクリシカに対して不利な虚偽の証言を作成するために、証人として出廷したと指摘した。
 その目的は、逮捕後も民兵の支配地域を維持することだった。マリエレ事件の捜査に従事していなかった3人の連警捜査官が、市警にフェレイリーニャを引き渡したことでこの陰謀は崩れ、フェレイリーニャは司法妨害の罪で起訴された。
 アルマダ氏は、法務大臣のフラヴィオ・ジノ氏とルーラ大統領からの使命を受け、Giseに事件の首謀者特定を任せた。連邦警察司令官のアンドレイ・ロドリゲス氏は約2週間前、事件解決の期限を今年3月までと設定。これが、レッサ被告の司法取引が進行中であることを示唆した可能性が強まった。ブラゾン氏やシシリアーノ氏と同様、元消防士で元市議のクリスチアーノ・ジラン氏も捜査対象となっている。
 ブラゾン氏はグローボの取材に対し、「マリエレとアンデルソンの家族の次に、この事件の解明に最も関心を持っているのは私と私の家族だと断言できる。このような告発があったとしても、すぐに真実が明らかになると信じている」と遠回しに自己弁護した。

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