南米最高の地価はどこか=平方単価約83万円はお手頃?

アルゼンチンのプエルト・マデロ市(via Wikimedia Commons)
アルゼンチンのプエルト・マデロ市(via Wikimedia Commons)

 南米地域の不動産市場は、過去数カ月間で金利上昇とインフレで苦境に立たされており、地域の最も高価な地区での価格を一層押し上げている。さらに一部のラ米市場の通貨が対ドルで下落している。中でもアルゼンチンのペソでは2023年現在で49・40%も価値を失っており、これが不動産価格に影響を与えている可能性がある。南米地域で最も高価な地区について、ブルームバーグ・リネア・サイト(1)が報じている。
 南米地域の最も高価な地価リストは、アルゼンチンの首都ブエノス・アイレス市にある再開発エリア「プエルト・マデロ地区」が占めており、2または3ベッドルームのアパートの平均価格は1平方メートルあたり5485米ドル(約83万円)だ。
 次はメキシコのモンテレイ市にある「デル・バジェ地区」が平均1平方メートルあたり4071米ドル(約61万7千円)、そしてブラジルのリオ市にある「イパネマ地区」が4008米ドル(約60万7千円)、チリの首都サンティアゴにある「ヴィタクラ地区」が3733米ドル(約56万6千円)、ウルグアイの首都モンテビデオにある「カラスコ地区」が3705米ドル(約56万円)となっている。
 日本一で一番地価が高いと言われる東京都「銀座4丁目交差点」付近は1平方メートルあたり4千万円以上するので、それに比べればかなり〝お手頃価格〟かもしれない。
 不動産プラットフォーム「Properati」「Lamudi」「Trovit」のレポートによると、現在最も高価な地区を有するアルゼンチン、メキシコ、ブラジルは、地域最大の経済大国として不動産市場も発展させているという。この地域で最も物価の高い地域トップ10は、分析された13カ国の5カ国に集中する。
 プラットフォームは、13カ国の26の高級住宅街で販売されている住宅の平方メートル当たりの平均価格の分析に基づいて報告書を作成し、米ドルでの値を比較した。
 報告書では「このランキングを公開する主な理由は二つ。第一に南米地域は世界で最も不平等な地域であり、経済的な困難に直面しているにもかかわらず、富を生み出している分野や人々がたくさんいる。第二に、不動産業界はこの地域で最も評価されている投資市場の一つである」と報告者は述べている。
 世界有数の金融グループであるアリアンツ社の報告書によると、金融資産の悪化により、22年に世界の家計の金銭資産は2・7%減少し、08年の金融危機以来の大幅な減少となった。
 この地域では、一人当たりの金融資産が最も高いのはチリ(2万6754米ドル)、次いでブラジル(1万3083米ドル)、メキシコ(1万2709米ドル)、コロンビア(5440米ドル)、ペルー(3163米ドル)、アルゼンチン(2062米ドル)だ。
 金融資産には現金と預金、保険会社や年金機関からの債権、証券(株式、債券、投資信託など)などが含まれる。NGO団体「ハビタット・フォー・ヒューマニティ」のデータによると、世界中で十分な住居がない18億人以上のうち、半数以上が気候変動の影響を受けやすい脆弱な場所で生活している。

最新記事