他国籍取得後も二重で問題なし=憲法改正でブラジル国籍を確保

イメージ映像、© Rafaela Biazi /unsplash
イメージ映像、© Rafaela Biazi /unsplash

 連邦議会は3日、他国籍取得者のブラジル国籍を維持する憲法改正補則案(PEC)131号を可決した。これまでは他国籍を取得した者はブラジル国籍を失う可能性があったが、この改正によりブラジル国籍を失うのは、詐欺などの不正行為、またはブラジル政府への要請による司法判断があった場合のみとなる。同日付G1サイトなど(1)(2)が報じている。
 この改正案は元上院議員のアントニオ・アナスタシア氏が作成し、9月12日に下院で承認されていた。以前は、他国籍の取得によりブラジル国籍を失うリスクがあったが、憲法改正により、ブラジル国籍を失うのは国内の管轄当局に書面で明示的に申請した場合に限られ、その場合でも再取得は可能である。
 またブラジル生まれでない帰化人で、「憲法秩序と民主国家に対する詐欺行為や攻撃」などの不正行為が判明した場合には、裁判所命令によって国籍が剥奪される。
 ロドリゴ・パシェコ上院議長(社会民主党・PSD)は「元の国籍はその人の出生に関連する要因であるため、可能な限り維持する必要があることを考慮すると、今回の改正は有益である。国籍放棄の主な原因である家族の形成や外国でのキャリアは、国籍を放棄する主な理由ではない。それは必然的にブラジルというルーツからの距離を暗示している」と述べた。
 下院の国籍改正PEC提案者の一人であるビア・キシス下議(自由党・PL)によれば、以前の状態だと国内の伯国籍者約250万人が国籍を失う可能性があった。この改正により在外ブラジル人約400万人の国籍確保にも利益をもたらすと説明した。「母国に残る家族を金銭的に助けるため自国を離れたブラジル人の多くは、国籍を失うリスクに苦しんでいた」と同氏は述べた。
 ブラジルの法律ではすでに二重国籍が認められており、この場合、イタリア系の祖父母を持つブラジル人などのブラジル国籍と他国の国籍を併せ持つことが可能。また、他国で居住し、その国に引き続き居住するための条件としてその国に帰化した場合にも、重国籍を持つ権利がある。
 ちなみに日本の国籍法では外国籍を自らの希望で取得した場合、日本国籍を失うと規定していて、法律上は二重国籍を認めていない。だが数年前、民進党代表の蓮舫議員が台湾籍と日本国籍の「二重国籍」状態だったとの報道をきっかけに、重国籍に対する関心が高まった。実際には日本国籍と外国国籍をもつ重国籍者は40~50万人以上いる可能性があるといわれている。

最新記事