創立60周年式典と免許伝達祝賀公演=琉球古典音楽野村流保存会ブラジル支部=本部から宮城幸盛会長ら慶祝団

豪華な本部支部合同演奏の様子

 琉球古典音楽野村流保存会ブラジル支部(新城盛春(あらしろもりはる)会長)は17日午後1時過ぎ、サンパウロ市リベルダーデ区の沖縄県人会本部大ホールで「創立60周年記念式典並びに免許伝達祝賀公演『古典芸能の美』」(米須清栄(こめすせいえい)実行委員長)を開催した。祝賀のために、沖縄の同保存会本部から師範や教師ら9氏が来伯して本場の演奏を披露した。

 記念式典ではまず移民・会員先亡者への黙祷、続いて米須実行委員長が、50周年祭典以来2世・3世や非日系の若者の愛好者を増やす努力を繰り返し、毎週研鑚を重ねる中で本日は三線師範一人、三線教師一人、筝曲師範一人が免許伝達式に臨むことになったとの流れを振り返り、この伝統を作り上げた初代会長新城清助(あらしろせいすけ)師匠、今は亡き知花真勲(ちばなしんくん)、仲宗根長告(なかそねちょうこく)、嘉数秀治(かかずひでじ)、大城利予(おおしろとよ)4氏らに深甚なる感謝を捧げた。
 新城支部長は「米須清栄先輩と2人で10歳前後の若い子どもたちに三線に興味を持たせる努力を重ね、そのうちに少年三線グループのような集いをビラ・カロン会館内で開催してきました。この活気ある雰囲気の中で、若い青年三線奏者たちが私たち保存会の研修会に積極的に参加し、今回三線教師が誕生し、大いなる勇気と感動を頂いております」と述べた。

 免許状伝達式では、金城秀樹ルカスさんに三線教師、吉村尊雄(たかお)さんに三線師範の免許状が、新城えみさんに箏師範免許状が授与された。その他、60周年記念の記念表彰の感謝状が新垣信光(しんこう)、諸見里安吉(もろみさとあんきち)、大嶺真治(しんじ)、高江洲義栄(たかえすじえい)、米須清栄、城間秀子6氏に渡された。
 感謝状授与者を代表して新垣信光さんが「記念の節目に感謝状を受けるのは身に余る光栄」と喜びを語った。支部と本部が記念品を交換した後、高良律正沖縄県人会長が「琉球古典音楽は沖縄系子孫にとっても心の宝。その種がブラジルに植えられ、先生方によって育てられている」と賞賛の言葉を贈った。
 最後に本部の宮城幸盛会長がマイクの前に立ち「郷土が誇る音楽文化の歌三線は(ブラジルにおいても)心の支えとなり、常に生活と共にあって、絶えることなくブラジルの大地に根を張り浸透させたことは大きな収穫であり、財産になった事と思います。郷土に寄せる強い思いで大輪の花を咲かせた1世・2世の皆様に心から敬意を表します」などと述べた。
 沖縄の本部から師範や教師がブラジル訪問して本場の演奏を披露するのは20年ぶりだった。

祝賀公演の様子

 式典後、祝賀公演「古典芸能の美」では本部と支部会員約60人が合同で幕開け斉唱「かぎやで風節」「野辺喜節」「揚作田節」などが盛大に演奏された。練習を重ねてきた10演目ほどが次々に披露され、会場を埋めた約450人から盛んに拍手が送られていた。

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