ルーラ=アマゾン保全活用に新アイデア=都市フォーラムや天文台など=COP30に向けて下準備

コロンビアで開催されたアマゾン地域に関する技術科学会議で発言するルーラ氏(Foto: Cláudio Kbene/PR)
コロンビアで開催されたアマゾン地域に関する技術科学会議で発言するルーラ氏(Foto: Cláudio Kbene/PR)

 8日付アジェンシア・ブラジルなど(1)(2)(3)(4)によると、ルーラ大統領(労働者党・PT)は8日、コロンビアのレチシア市で開催されたアマゾン地域に関する技術科学会議に出席し、閉幕式の演説で、「アマゾン都市フォーラム」や「アマゾン議会」に加え、「アマゾン地域天文台」などの意欲的な新プランを提案すると共に、2030年までにアマゾン地域の森林伐採ゼロという従来からの目標を強調し、周辺諸国の協力を求めた。
 アマゾン地域に関する会議は通常国家レベルだが、ルーラ大統領は「公共政策はその地域を知る人々の参加なしには成り立たない」との理由から、国境を越えてアマゾン地域の市長、知事、国会議員が集まって独自の公共政策を共に考えていこうとする枠組み「アマゾン都市フォーラム」や「アマゾン議会」の設立を提唱した。
 同様に、科学とモニタリングの分野における他の二つの対策案も発表した。その一つは「アマゾン地域天文台」の創設で、干ばつ、洪水、雨、火災、水質汚染に関する速報や警報を、国を超えてリアルタイムで生成し、それを公共政策の指針にできるよう、参加国全てでデータを体系化して共有するもの。
 もう一つは、国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)と同じような役割を持つ「アマゾン専門家委員会」の創設だ。ルーラ氏は「大学と研究機関の間の連絡ネットワークの形成は、地元の知識の生産を刺激し、経済を活性化し、若者たちに機会を生み出すことに貢献する」と述べた。
 ルーラ氏は閉幕演説の中で「ブラジル政府は2030年までに森林伐採をゼロにすることを約束している。これは、他のアマゾン地域の国々が一緒に実現すべき目標だ」と述べた。
 今回の会議は8月8・9日にパラー州都ベレンで開催される「アマゾンサミット」の準備会合と位置づけられる。同サミットにはアマゾン協力条約機構(ACTO、ポ語ではOTCA)に加盟するブラジル、ボリビア、コロンビア、エクアドル、ガイアナ、ペルー、スリナム、ベネズエラの大統領が参加する予定。同熱帯雨林内にあるフランス領ギアナの代表として、マクロン仏大統領も招待されている。
 1978年7月のアマゾン協力条約締結により、ACTO加盟国はアマゾンの環境保全と天然資源の合理的な利用について合意した。この条約は環境保護を優先することに加え、アマゾン地域の開発を促進し、8カ国の持続可能な発展を達成するために、公平で相互に利益が得られるよう、協力し合うことを目指している。
 だが、45年経っても大きな成果を生み出しておらず、8月のアマゾンサミットではルーラ案を基に新機軸を打ち出す方針だ。ルーラ氏は更にアラブ首長国連邦のドバイで今年11月に開催される国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)で、環境問題に関する南米アマゾンを構成する国々の共同見解を提出する意向だと述べた。これらは全て、25年にベレンで開催予定のCOP30に向けた下準備といえそうだ。

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