聖体祭「イエスの行進」で不在のルーラに野次=ボルソナロも参加せず=政治色の後退があらわに

今年のイエスの行進(Rovena Rosa/Agencia Brasil)
今年のイエスの行進(Rovena Rosa/Agencia Brasil)

 聖体祭(コルポス・クリスティ)の7日、サンパウロ市で毎年恒例の「イエスの行進」が行われ、35万人に及ぶキリスト教の信者たちが参加した。だが、ルーラ大統領やボルソナロ前大統領が参加しないなど、政治家の参加が少ないことも注目された。7日付フォーリャ紙など(1)(2)(3)(4)(5)が報じている。
 イエスの行進は世界的に行われているキリスト教のイベントで、ブラジルでは1993年以降、31年間、毎年開催されている。
 今年も、35万人といわれるキリスト教の信者たちが起点となるサンパウロ市セントロのルス駅周辺に集まった後、チラデンテス大通りを経由して、目的地である北部の「遠征隊の英雄広場」までの約3・5キロを歩いた。
 ブラジルではとりわけ、福音派の信者の増加が目立ち、現在では7千万人を超えるとの統計もある。そうしたこともあり、「イエスの行進」は政界も無視できない存在になっているが、今年の行進には政治家の姿があまり見られなかった。
 ルーラ大統領は今年、主催者から参加を要請されたが、北東部を訪問後、バイア州で休暇を過ごすため、参加を断った。連邦政府からはジョルジェ・メシアス連邦総弁護庁(AGU)長官が大統領の代理として参加。労働者党(PT)からは元リオ州知事でもあるベネジタ・ダ・シウヴァ下議も参加した。
 メシアス長官はバプテスト教会のエステヴァン・エルナンデス宣教師に紹介されて壇上に上がった。同長官は不在のルーラ大統領から託されたメッセージを読んだが、ルーラ氏の名が出ると野次が飛び、そのたびにエルナンデス宣教師が聴衆をなだめた。その場にいた参加者のほとんどはボルソナロ氏の支持者で、ルーラ氏がその場に来なかったことにも不快感を示した。エルナンデス宣教師自身もボルソナロ前大統領の支持者として知られていた。
 ルーラ氏はメッセージの中で「嫌悪や不調和に勝つことが神への信仰の強い喜びだ」と語ってこのイベントへの敬意を示し、ブラジルのすべての人々の権利のために永遠に尽くしたいと語っている。
 その一方、ボルソナロ前大統領や熱心な福音派として知られるミシェレ夫人も姿を現さなかった。前大統領夫妻は大統領在任中には積極的に参加していたが、今回はサンパウロ州海岸部で休日を過ごすことを選んだ。
 これに関しては福音派の参加者の間でも残念がる声が目立ち、一部の信者からは「これまで参加していたのは政治的な理由だったのでは」との声も上がっている。スタッフとして参加者した一人は、「今年はサッカー・ブラジル代表のユニフォーム姿の人が大幅に減った」と、政治色の後退を指摘している。
 大物政治家で参加したのはタルシジオ・デ・フレイタス・サンパウロ州知事のみ。彼をボルソナロ氏の後継者として見る人が多いだけに、あちこちで歓声が挙がっていた。 

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