VERSTA山村理事長が来伯=ハッポーザ村で森林農法導入進む

来伯参加した山村理事長

 日本のNPO法人「VERSTA」(山村延郎理事長)は2月8日、「ジュサラ椰子による森林農法・二次林普及支援プロジェクト&啓発合同セミナー」をサンパウロ州セテ・バラス市で開催し、農業関係者ら130人が参加した。セミナーには山村理事長らが来伯参加し、講演を行った。
 講演では小野瀬由一専務理事が、2014年に始動した同プロジェクトの概要について説明を行った。
 VERSTAは、複数の作物を一つの畑に共生的に栽培する森林農法の普及を進めている。

セミナーの様子

 現在絶滅危惧種に指定されているジュサラ椰子は、大西洋岸森林地帯に群生していたが、19~20世紀にかけて食用パウミットとして乱獲され、9割以上が喪失した。
 ジュサラ椰子の実は健康食品として有名なアサイーに匹敵する健康成分を有しており、VERSTAは森林農法の普及プロジェクトに、商品作物として高い潜在能力を持つジュサラ椰子を組み合わせ、植生の回復を図りつつ、事業収益性を高めているという。
 セミナー会場にはジュサラ椰子の実を使用したジュースやクッキー、コーヒーなどが用意された。セミナーにはVERSTAが日本から招待した拓殖大学生徒7人も参加した。

森林農法導入進める山丸さん=セテ・バラス市ハッポーザ村

ハッポーザ村を視察した桑名良輔在サンパウロ総領事(中央)と森林農法を導入を進める農業関係者ら一行(8日撮影)

 セテ・バラス市にはお茶栽培が盛んなハッポーザ村植民地がある。ハッポーザ村植民地が出来たのは1960年頃。入植はレジストロ入植事業の一環として行われた。同事業では入植地域を5区画に分けた。5区画目の入植地であったことからハッポーザ村を「五部」と呼ぶ人もいる。
 レジストロ入植事業では、平地の入植地の農業は順調に成長したが、ハッポーザ村は地形に恵まれず、厳しい営農を強いられた。
 試行錯誤の末、同地ではお茶栽培が定着したが、より農業に適した地を求め、同地を去る者も多く出た。入植当初は日本人家族40世帯がいたが、現在は日本人家族5、ブラジル人家族50世帯が暮らし、協同で農作業を行っている。
 ハッポーザ村で森林農法の導入を進める山丸一利さんは「収入に繋がるのは2、3年先の事だけど、ジュサラ栽培事業の持つ可能性は大きい。森林農法は自然環境のためにもなる。諦めずに成功させたい」と話した。

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