下水の半分以上は垂れ流し=格差が大きい衛生施設整備

上位20市と下位20市の上下水道普及率などを示すグラフ(20日付G1サイトの記事の一部)
上位20市と下位20市の上下水道普及率などを示すグラフ(20日付G1サイトの記事の一部)

 トラッタ・ブラジル研究所とGOアソシアドスが20日、2021年の全国衛生情報システム(SNIS)を基に国内100都市の人口や上下水道の整備の実態などをまとめた衛生ランキングを発表したと同日付G1サイト(1)(2)(3)などが報じた。
 同報告書によると、総人口2億1430万人中、1億人は下水網につながっておらず、3500万人は飲用可能な水にアクセスできていない。また、下水処理場で処理された下水は51・20%で、1日に五輪用プール5500個分の下水が垂れ流されているという。衛生施設の不備は国民の健康や環境にも甚大な影響を及ぼす。
 項目別に見ると、上下水道システムの評価で上位20位までの市では99・7%の市民が浄化された水を使っているが、下位20市での水道水利用者は79・2%のみだった。
 また、上位20市では97・7%の市民が下水網につながっているが、下位20市で下水網にアクセスできていたのは29・2%のみで、下水場での処理率は、上位20市が80・1%、下位20市は18・2%だった。
 また、上位20市では水道管の不備や途中で水が盗まれたりして消費者まで届かなかった浄水は29・9%にとどまったが、下位20市では51・3%に及んでいたという。
 同研究所によると、このような差を生んだ第一要因は住民1人あたりの投資額の差だ。上位20市での住民1人あたりの平均投資額は166・52レアルで、5位のサンパウロ州リメイラ市では218レアル/人の投資を行っていたが、下位20市の平均投資額は55・46レアル/人で、下から6番目のパラー州ベレン市では5レアル/人だった。
 同研究所によると、上位の市は継続的に投資を行っており、上下水道の普及状態が人口増加と同等またはそれ以上に向上している。
 また、衛生施設の整備状況は地域差が大きい。全指数で1位だったサンジョゼ・ド・リオ・プレット市など、上位20市中8市はサンパウロ州、6市はパラナ州が占めた。これら2州は以前から整備状況を示す指数が高く、監視機関の基準も厳しい。他方、下位20市中4市はパラー州、4市はリオ州、2市はリオ・グランデ・ド・スル州で、残りの10市は大半が北部か北東部に属している。

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