米中間の貿易戦争が再び激化する中、ブラジルの株式市場も大きく揺れ動いた。6日(月)のブラジル株式市場(Ibovespa指数)は前営業日比1.31%安の125,588.09ポイントで取引を終えた。一時は上昇する場面も見られたが、最終的には1,667.91ポイントの下落となり、まるでジェットコースターのような一日だった。
外国為替市場では、ドルが対レアルで終始堅調に推移し、最終的には1.29%上昇の1ドル=5.911レアルとなった。債券市場でも将来の金利を示すDI(ディー・アイ)金利が全体的に上昇するなど、投資家心理の悪化が広がった。
トランプ氏「中国が引かねば、さらに50%の関税を課す」
市場がここまで動揺した背景には、米国のドナルド・トランプ前大統領による対中強硬姿勢の再燃がある。トランプ氏は、「中国が報復関税を撤回しなければ、追加で50%の関税を課す」と発言し、「中国との協議はすべて打ち切る」と述べた。
これを受けて、ゴールドマン・サックスは米国のリセッション(景気後退)入りの確率を45%に引き上げた。また、米資産運用大手ブラックロックのラリー・フィンクCEOは、「今すでにリセッションに入っている」と語ったほか、カナダのマーク・カーニー首相も「米国の景気後退の可能性は大きく高まった」と警鐘を鳴らした。
「関税延期」の誤報で乱高下、EUも報復関税を示唆
米中関係の緊迫が続く中、一時「米国が関税発動を90日延期する」との未確認情報が市場に流れ、米国株とIbovespaは急騰。しかしその後、ホワイトハウスがこれを否定すると、株価は急落し、ボラティリティ(変動性)が一段と高まった。
また、欧州連合(EU)も米国に対し25%の報復関税を検討していると報じられ、貿易摩擦がグローバルに拡大する懸念が強まっている。
主要銘柄ほぼ全面安、NaturaやEmbraerは小幅高
この日のIbovespaでは、多くの銘柄が値下がり。化粧品大手ナチュラ(NTCO3)が2.84%高、教育関連のYduqs(YDUQ3)が1.51%高、航空機メーカーのエンブラエル(EMBR3)が0.17%高と一部が健闘したものの、全体としては弱い展開だった。
鉱業大手ヴァーレ(VALE3)は1.20%安と値を下げ、国営石油会社ペトロブラス(PETR4)は原油価格の急落(60ドル割れ)を背景に3.97%の大幅安となった。
銀行株ではイタウ・ウニバンコ(ITUB4)のみが0.19%高と小幅上昇し、ブラデスコ(BBDC4)は1.67%安、ブラジル銀行(BBAS3)は1.07%安となった。小売関連ではカルフール(CRFB3)が0.12%高を維持した。
ルーラ大統領「ブラジル経済は安全」 3,500億レアルの外貨準備を強調
一方、ルーラ大統領は同日、サンパウロ州カジャマール市で行われた投資イベントにおいて、米国による貿易措置に関わらず「ブラジル経済は安全だ」と強調。「3,500億レアル(約3390億ドル)という外貨準備があり、経済は再び好調を見せる」と述べた。
また、民間労働者向けの給与天引きローン(クレジット・コンセギナード)制度の導入など、内需拡大に向けた取り組みを紹介し、政府の景気刺激策に自信を見せた。