【31日の市況】Ibovespaは1.25%下落して130,259.54ポイント、月足では6.08%上昇=ドル相場は0.94%下落して5.701レアルに

 3月が終わり、2025年も早くも4月に突入した。3月最終日、ビジネス界の注目は米国・ワシントンに向けられている。トランプ大統領が発動を予定する関税措置が、4月2日から適用されるのを前に、市場には警戒感が広がった。この影響で、ブラジルの代表的な株価指数であるIbovespaは1.25%下落し、130,259.54ポイントとなった(前日比-1,642.64ポイント)。しかし、3月全体では6.08%の上昇を記録し、昨年8月(6.54%上昇)以来の好調な月となった。
市場を支配する「関税」

 2025年に入って以来、市場の話題は「関税」一色だった。4月も引き続き、このテーマが市場を揺るがすことになりそうだ。金融市場の専門家であるフェリペ・サンタナ氏は「米国の関税措置が本当に機能するのか、それとも経済に悪影響を及ぼすのか、投資家は疑念を抱いている」と述べる。「リスクを回避する動きが広がり、投資家は株式市場から距離を置き、ドルも売られている」。この影響で、ブラジルの商業用ドル相場は0.94%下落し、5.701レアルとなった。
 ヨーロッパ市場では、主要指数が軒並み下落。欧州中央銀行(ECB)のクリスティーヌ・ラガルド総裁は、「トランプ大統領が関税発動の日を『解放の日』と呼んでいるが、我々にとっては欧州の未来を決める機会だ」とコメントした。また、金価格は米国市場で史上初めて3,100ドルを突破した。
 米国の信用に対する世界的な疑念が高まる中、ゴールドマン・サックスは米国の景気後退リスクを35%に引き上げた。その一方で、XP証券のグローバルアナリスト、マリア・イレーネ・ジョルダン氏は、「リセッションの可能性は高まっているが、基本シナリオは依然として景気減速にとどまる」との見解を示している。
 米ウォール街では、当初は懸念が広がったものの、午後には持ち直し、結局ナスダックが下落するのみで、他の指数はまちまちの動きとなった。市場は4月2日の関税発動を注視している。

ブラジル市場のチャンス

 ブラジル国内では、中央銀行の金融政策に注目が集まる。市場関係者が注視する中、中央銀行の金融政策担当ディレクター、ニルトン・ダビ氏は、「3月の会合時点で、金融引き締めサイクルは終わっていないとの確信があった」と述べた。
 一方、ブラデスコBBIは、現在の市場を「価値投資」の観点から好機と見ている。しかし、3月最終日の株式市場はその動きに反応を示さなかった。

個別銘柄の動向

 ペトロブラス(PETR4)は、セッション中に上昇を試みる場面もあったが、最終的には0.72%下落。ディーゼル価格の引き下げを発表したものの、影響は限定的だった。ヴァーレ(VALE3)は、中国政府による景気刺激策への期待にもかかわらず、1.49%下落した。
 銀行セクターも軟調で、ブラジル銀行(BBAS3)は1.57%下落。アナリストの格下げが影響した。
 一方、GPA(PCAR3)は、経営陣の刷新観測を背景に13.60%の急騰を記録。BRF(BRFS3)は、取引中はプラス圏を維持していたが、最終的には0.15%の小幅下落となった。
 指数外の銘柄では、カーザス・バイーア(BAHI3)が12.89%の急落を記録したものの、3月全体では239%もの大幅上昇を遂げた。また、Banco BRB(BSLI3)は、Banco Masterによる買収報道を受け、83.44%の急騰を見せた。

「価値投資」に注目、BBIが11銘柄を選定

 ブラデスコBBIは、高金利環境下で「価値投資(バリュー投資)」が有望であると指摘。歴史的に、高インフレと高実質金利の局面では、この手法が優れたパフォーマンスを示す傾向があると分析している。
 BBIは、ブラジル市場における「価値投資」の機会を特定するため、以下の5つのフィルターを適用。

  1. 過去10年間のPER(株価収益率)との比較

  2. 企業の将来収益性と過去の収益性の比較

  3. 現在の評価額と業界平均の比較

  4. 企業の収益性と資本コストを考慮した評価額の算出

  5. 長期的な収益率と資本コストの比較

これらの分析をもとに、BBIは以下の11銘柄を「価値投資」に適した銘柄として選定した。

  • WEG(WEGE3)

  • シレラ(CYRE3)

  • RD Saúde(RADL3)

  • マルコポーロ(POMO4)

  • ウルトラパール(UGPA3)

  • TIM(TIMS3)

  • JBS(JBSS3)

  • イタウ(ITUB4)

  • イタウサ(ITSA4)

  • サンタンデール(SANB11)

  • マルチプラン(MULT3)

 なお、4月1日はエイプリルフールだが、市場にとっては「関税」の影響が引き続き現実的な懸念材料となることは間違いない。

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