サッカー大国で日本情報発信=ジャーナリスト チアゴ・ボンテンポさん=日本サッカー史紹介本執筆

日伯女子サッカー親善試合を観戦した際のチアゴさん(左から2人目)

 「結果は1勝1敗でしたが、内容はオリンピックに繋がる非常にポジティブなものでした」。Globo系列のスポーツ情報サイト「Ge esporte」などで日本国内のサッカーの試合や代表戦の解説を行っているサンパウロ市在住のスポーツジャーナリスト、チアゴ・ボンテンポさん(38歳)は、2019年に国際協力機構(JICA)の日本文化活動コーディネーター育成プログラムで1カ月間の日本研修に参加し、2022年9月にブラジルで初となる日本サッカーの歴史紹介本『SAMURAI AZUL』(Corner出版)を刊行するなど、日本通として知られている。11月30日と12月3日に行われた日本対ブラジルの女子サッカー代表親善試合についてや、チアゴさんが日本に興味を持ったきっかけについて11日に取材した。

 日伯女子サッカー代表親善試合は、1試合目がサンパウロ市アレーナ・ネオ・キミカ(通称アレーナ・コリンチャンス)で行われ、3―4でブラジルが勝利。2試合目は同市モルンビ・スタジアムで行われ、2―0で日本が勝利した。
 チアゴさんは今回の親善試合について「来年2月に行われる北朝鮮とのパリ五輪最終予選試合の糧となる内容だったと思います。日本代表の強さは2011年のW杯優勝時をピークに減じている印象でしたが、今回の試合では、長谷川唯選手を筆頭に、宮澤ひなた選手や、浜野まいか選手、谷川萌々子選手など若い世代の選手がチームを引っ張っていて、世代交代の成功を感じました。五輪での活躍も期待できると思います。一方でブラジル代表は世代交代がうまく出来ていないので日本を見習わなければいけません」と語った。
 流暢な日本語を話すチアゴさんは、ミナス・ジェライス州生まれ、マット・グロソ州育ちのポルトガル系ブラジル人だ。幼少時からサッカーが好きで、習い事の一つとして柔道を始め、そこで日本語に触れた。「先生」や「いち、に、さん」など簡単な日本語を柔道を通して学び、アニメやゲームも好きだったので自然に日本に対しても興味を抱くようになった。大学進学にあわせて、サンパウロ市に出て、アリアンサ日本語学校に通い始め、7年通って日本語を身に着けた。
 大学ではゲームデザイン学を学び、卒業後3年間はゲーム開発業に携わったが、好きな日本文化とサッカーに関する仕事をしたいと決心し、日本のサッカーを0から勉強し、ブログで日本のサッカーについての情報発信を始め、2011年にジャーナリズム学科の大学に入り直した。
 「ポルトガル語で日本のサッカーについて書かれたものが少なかったので始めは英語でも情報収集をしました」と当時の苦労を語った。チアゴさん自身が日本のサッカーを知るのに苦労した経験から本の出版を決めたという。
 昨年の10月に行われたワールドカップでは、誰も予想していなかった日本のスペイン勝利という快挙が起きた。この勝利がきっかけでブラジル人の間でも日本の選手に対する関心は高まり、特にヨーロッパで活躍する久保建英選手などが注目されているという。

取材中のチアゴ・ボンテンポさん

 チアゴさんは、日本サッカーの紹介活動を行ううちに、日本文化全般が好きになり、日系社会の活動にも参加するようになった。ブラジル日本都道府県人会連合会主催の日本文化イベント「県連日本祭り」では、日本のサッカーチーム浦和レッズが好きなことから、埼玉県人会の活動に協力。ブラジル高知県人会で行われているよさこい踊りにも参加するようになった。日本留学生研修支員ブラジルOB会の副会長として、JICAや国費外国人留学生など日本にこれから留学生として行くブラジル人に向けての支援も行っている。
 チアゴさんは今後について「これからもブラジルで日本のサッカーについて発信を続けていきたいと思っています。来年はアジア杯が開催され、ヨーロッパで活躍している日本人選手がどんな素晴らしいプレーみせてくれるのか今から楽しみです」と期待を語った。
 チアゴさんの活動はプロフィールリンクサービス「リンクツリー」(https://linktr.ee/Tiago.Bontempo)にまとめられており、インスタグラム(@Tiago.Bontempo)や、Youtube(Hinomaru podcast)などからも見ることができる。

最新記事