大麻個人所持、最高裁4票対0票で賛成優勢=合法化に近づくも慎重な姿勢

(イメージ映像、©Ahmed Zayan/unsplash)
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 モラエス最高裁判事は2日、60グラムまたは雌株6本を上限に個人消費のための大麻所持合法化に賛成票を投じた。同件は同判事が2015年に見直しを求めて審理が止まっていた。投票は4対0で賛成票が優勢だが、この後に報告官のジルマール・メンデス判事が票の見直しを求め、残りの判事の投票は延期された。2日付ヴァロール・エコノミコ紙など(1)(2)(3)が報じている。
 個人消費のための大麻所持合法化は、判決結果が他の違法薬物にも影響を及ぼす可能性があるため慎重だ。この審理は15年に始まり、2023年だけで3回延期されている。
 同件の審理はサンパウロ州の刑務所で3グラムの大麻を所持していた男性への有罪判決が契機となって始まった。弁護人は「被告は公衆衛生を害する行為を行った訳ではなく、自身の健康を害しただけ」として、個人の自由を害する違憲判決として最高裁まで上訴した。サンパウロ州検察局は合法化に反対の立場をとっている。
 麻薬取締法第28条によれば、個人消費目的の薬物所持の罰則は地域社会への奉仕活動や更生プログラムへの参加などだが、薬物売買なら5~20年の懲役と罰金が科される。
 専門家は薬物の個人使用に関する定義が明確でないことを懸念しており、警察当局が個人使用者を密売人に仕立て上げ、より重い罰則を科す可能性があると批判している。大麻の個人所持合法化だけでなく、違法薬物の使用と密売を区別するための基準の設定が必要だとしている。
 メンデス判事は審理の始めに「薬物使用者を処罰する第28条の違憲性」により、国家はどんな薬物の使用も罰することはできないとし、全ての違法薬物の個人所持の合法化を支持した。ルイス・バローゾ判事は最大25グラムの大麻所持または最大6本の大麻栽培を認めることを提案。エジソン・ファキン判事は大麻に限定した合法化を支持した。
 個人所持の合法化は通りそうだが、対象となる薬物の種類や量は見解が分かれている。同件審理には新任のクリスチアーノ・ザニン判事も参加できることになり、残る判事の判断が注目されている。

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