ブラジルにも気候時計が登場=リオのキリスト像に照射

気候時計が6年を切ったことを示す照射を受けたキリスト像(23日付エスタード・デ・ミナス紙サイトの記事の一部)
気候時計が6年を切ったことを示す照射を受けたキリスト像(23日付エスタード・デ・ミナス紙サイトの記事の一部)
携行できる気候時計を見せるナタリエ氏(©Tatiele Pires/Instituto Talanoa)
携行できる気候時計を見せるナタリエ氏(©Tatiele Pires/Instituto Talanoa)

 北半球では熱波、ブラジル南部では1カ月足らずの期間に3度のサイクロン到来など、気候変動が進む中、地球の平均気温上昇を人類にとって最低限安全な水準で保つために残された時間が6年を切ったことを示す「気候時計」がリオのキリスト像に照射されたと22日付アジェンシア・ブラジルなど(1)(2)(3)(4)が報じた。
 この時計がゼロを示すと炭素収支もゼロになり、全世界の気候に壊滅的な影響を与える可能性が高まる。この取り組みは世界中で異常気象が頻発していることで生まれた。
 地球上の気温上昇を1・5度以下に抑える試みが可能な期間を計算し始めた2015年は、2030年まで大丈夫とされていたが、今は6年間を切った。タラノア研究所のナタリエ・ウンテルステル所長によると、「無駄にできる時間はない。炭素排出量を減らし、気候の安全を保証するために、政策と民間の決定を統合させる時が来た」という。
 気候時計は2020年9月21日に導入されたニューヨークの時計以後、ロンドン、ローマ、ソウル、東京、北京といった大都市でも導入されており、リオのキリスト像では17~21時に同時計を照射した。気候時計の照射は気候変動への取り組みは急務と知らせるためで、世界の主な環境活動家は携行時計も持っている。
 ナタリエ氏は、「最も大切なのは気候時計が伝えるメッセージが一人でも多くの人と呼応すること。炭素排出量が増えて気候変動が加速化すれば時計はより早く回り、炭素排出量が減ればゆっくりとなる」と説明した。
 22日のキリスト像への照射では、気温上昇を1・5度以下に抑えるために炭素排出量を抑制できる期間が6年以下となったことが初めて明示された。
 ナタリエ氏は、「人類は地球温暖化を安全な水準で抑えるための機会を与えず、危機的な事態発生までの時間は短縮している。残念だが、私達は深淵に向かっている。森林伐採抑制や再生可能エネルギーへの切り替えなどを行うべき」とした。
 ブラジルは世界5位の温室効果ガス排出国で、炭素排出量を削減する責任を負っており、他国の責任も追及すべきだ。20日付アジェンシア・プブリカ(5)は、7月のレシフェ市での大洪水や聖州海岸部で65人の死者が出た2月の水害なども異常気象の例で、現政権は気候変動への取り組み強化を望んでいるが、必要な措置を講じた市は今も皆無と報じている。

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