チリ=制憲評議会で極右派台頭=現政権とは真逆の方向に

 7日、チリで制憲評議会の選挙が行われ、極右政党が勝利。新憲法制定のための評議会で保守派が多数派となったことで、急進左派のボリッチ大統領の立場が苦しくなっている。8日付フォーリャ紙(1)などが報じている。
 この選挙では、2021年の大統領選の決選投票でボリッチ氏に敗れたホセ・アントニオ・カスト氏が率いる共和党が50議席中22議席を獲得し、最大政党となった。
 ボリッチ大統領が所属する左派連合「チリ連合」は17議席獲得に終わり、伝統的な中道右派の連合「チリ・セグーロ」が11%を獲得した。
伝統的な中道左派連合の「全てをチリ」と人民党は議席を獲得できなかった。その一方で、51番目の議席を先住民が獲得した。先住民は割り当てられたわけではなかったが、全体の投票数の中で先住民が一定以上の支持を得ることができれば51番目となるよう、かねてから決められていたものだ。
 今回の選挙で右派は33議席を獲得、議案承認に必要な31票を超えたことで、新憲法制定に関してかなり有利な立場となった。
 同国では2019年10月の首都サンチアゴの地下鉄での抗議行動を契機に、数カ月間もデモが続いた。これが当時のピニェラ政権に、独裁者として知られたアウグスト・ピノチェト大統領の軍事政権末期に制定された憲法を改正するよう約束させることとなった。
 ボリッチ氏はその新憲法を求める運動を率いていたために有名となり、2021年に発足した制憲議会(定員155人)は左派勢力が強かった。だが、パンデミックの影響もあり、国民の求めるものが変わり、保守派が台頭することになった。
 制憲議会が1年がかりで練った新憲法案に対する国民投票が昨年9月に行われたが、有権者の62%が否決した。税制改革などを求めた国民とイデオロギーに終始した新案には開きがあった。そのため制憲議会の代わりに制憲評議会を開設することが昨年12月に同議会で承認され、今回の選挙となった。
 今回は法律専門家が基本文書を書き、それを7月から評議員が審議して11月までに最終案を決め、12月に再度国民投票にかける予定。

 

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