ルーラ大統領=8公社の民営化にストップ=2日間でペトロブラス株10%暴落

大統領令発令直前に大統領綬を受け取ったルーラ氏(Lula Marques)
大統領令発令直前に大統領綬を受け取ったルーラ氏(Lula Marques)

 【既報関連】ルーラ大統領が就任当日に出した大統領令や暫定令が2日付連邦官報に掲載され、2日の株式市場指数下落やレアル価急落などを招いたが、その中には8公社の民営化見直しも含まれていると1~3日付現地サイトが報じた。
 1日に出た大統領令や暫定令は、連邦政府や省庁の構造変革に関するものや「ボルサ・ファミリア」(生活扶助)支給額を600レアルとし、6歳以下の子供には1人150レアルの児童手当を支給するためのもの、燃料関連の連邦税免除継続するためのもの、銃規制の見直しなど、13件だ。
 公社の民営化見直しはその一つで、ボルソナロ政権が民営化の対象とし、入札などの準備も進めていたが民営化に至らなかった公社が民営化の対象から外された。対象から外れたのは郵便局、ブラジル通信公社(EBC)、ヌクレブラス重装備公社(Nuclep)、国家配給公社(Conab)、連邦データ処理サービス公社(Serpro)、ペトロブラス、社会福祉データ処置公社(Dataprev)、全国石油・天然ガス管理公社(PPSA)だ。
 ルーラ大統領は、民営化が公共サービスそのものや公社によるサービスが組み込まれる市場に与える影響を厳密に分析する必要があるとし、民営化の見直しを命じた。民営化による種々の影響の分析と民営化の手続き停止は、官房長官や通信相、農務相、財務相、社会保障相、鉱山エネルギー相、大統領府社会通信局長官らの手に委ねられている。
 ボルソナロ政権はエレトロブラスなどの民営化を積極的に進め、浄水場などの基礎的な衛生施設の管理や建設を民営化した州も出た。公社や公団の民営化は競争原理による管理・運営の効率化が望める一方、国民の負担増やサービスの質の低下などをもたらす可能性も指摘されている。
 他方、ハダジ財相の自立性への不安やカルロス・ルピ社会保障相の不用意な発言を受けて株式市場は危機感を高めており、年初の2日間だけで10%も暴落したペトロブラス株に引きずられる形でボベスパ指数も計5%も下げた。

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