ブラジル独立記念日=200周年記念してイピランガ博物館が再開=9年間の改修工事を経て

初代皇帝ドン・ペドロ一世(Wikimedia Commons)

 ブラジル独立200周年という記念すべき節目の9月7日、初代皇帝となるドン・ペドロ一世が「独立か、死か」の雄叫びを上げたサンパウロ市イピランガの丘に建つ、サンパウロ州立イピランガ博物館(別名「サンパウロ大学パウリスタ博物館」)が6年間にわたる改修工事を終え、市民に向けて再びその扉を開くことになった。
 1822年にドン・ペドロ一世が独立宣言を行った事を記念して造られた「独立公園」があるイピランガは、サンパウロ市だけでなく、ブラジル全体にとっても非常に重要な歴史的地区だ。
 独立公園の中には、ポルトガルからの独立を宣言したペドロ皇子(後の皇帝ペドロ一世)の勇姿を象った独立記念碑や庭園、独立広場、イピランガ博物館などがある。1989年8月にブラジルの考古学的及び文化的遺産の一つに指定された。

初代皇帝の心臓の貸し出し

 独立宣言を行い、初代皇帝となったドン・ペドロ一世は、2人の妻と共に同公園内の廟に葬られているが、心臓だけは本人の遺志によりポルトガルで保存されている。だが、今年は独立200周年を記念して、ドン・ペドロ一世の心臓が特別に貸し出された。
 ホルマリン漬けの初代皇帝の心臓は、ポルトガルでの展示会後、厳重な警備の下でブラジルに届けられ、各国首脳並みの歓待を受けた。また、5日までは外務省で展示されていた。
 初代皇帝の心臓と遺体がその死後初めてブラジル内に揃う中、建物の傷みがひどくなって2013年に一時閉鎖されて以来、改修工事を進めてきたイピランガ博物館も、改めて開業となる。

イピランガ博物館の改修

 イピランガ博物館はパウリスタ博物館としても知られ、1895年9月7日に開業。貴重な歴史的遺物などを集めた博物館はサンパウロ市の歴史的名所の一つにも数えられ、1963年からはサンパウロ大学(USP)の管理下に置かれている。
 その博物館が改修のために閉鎖されたのは2013年。市、州、国の歴史的な遺産でありながら、資金確保などの問題もあり、改修工事の開始は遅れ、2019年10月になって工事が始まった。
 だが「独立200周年には再開を」との願いは強く、8月18日にはカルロス・ブリット観光相が工事の進捗状態を確認するために訪問。ルアネー法による1億8300万レアルなど、計2億3500万レアルをかけて進められた工事は順調に進み、独立200周年記念行事の一つとして、開設記念日でもある独立記念日に再び、門戸を開く事になった、

広がるスペース、収容人数も拡大

 改修工事は独立公園内の庭園や独立記念碑などにも及ぶ大掛かりなもので、ブラジルにとっても重要な意味を持つ歴史的名所や数々の遺産が再び、訪問、閲覧できるようになる。
 独立記念日の7日は博物館も、公立校生徒や工事に携わった人々とその家族に限定して再開される。8日からは一般市民にも開放される。
 改修工事でスペースが6800平米増え、従来の倍になった博物館は、900平米の展示スペースや200人が入れる大講堂、教育活動用の空間や部屋、カフェテリア、店舗なども備えており、11の展示会を並行開催できるようになる。年間来場者は90~100万人になる見込みだ。
 書類も含めた所蔵品の総数は3500品目増えて45万点となった。また、空調設備が整った事で、国内外の施設の所蔵品の展示なども可能になった。
 また、煙感知器やスプリンクラーといった防災設備も整い、建物の安全性も高まった。電気の配線も陶器製の碍子を使って火災を起きにくくする、外部からの熱の影響を受けにくい曇ガラスや、消費エネルギーや放熱量が少ないLEDを使うなど、省エネや環境重視の工夫も随所でなされている。

サンパウロ市を上げての独立200周年記念行事

 独立200周年を祝うイベントは全国で開催されるが、サンパウロ市でも50を超えるイベントが計画されている。
 メインはやはり、ドン・ペドロ一世が独立の雄叫びを上げたイピランガ地区で、ドン・ペドロ一世大通りでの市民と軍によるパレードは7日朝8時から午後0時半まで。独立公園ではドン・ペドロ一世による独立宣言を再現するショーやパウリスタ博物館の再開記念のイルミネーション、ドローン200機を使ったショーに映画、劇なども計画されている。
 サンパウロ市での独立200周年記念イベントは、イピランガ地区以外でも、市立劇場をはじめとする文化センター、お茶の水橋その他、髄所で繰り広げられる事になっている。

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