《ブラジル》汚職でリベイロ前教育相逮捕=配下の牧師が不正な口利き=大統領選にも悪影響か

大統領と共に写真に納まる牧師達(左端サントス氏、右端モウラ氏、Carolina Antunes/PR)

 23日朝、教育省の汚職問題でミルトン・リベイロ前教育相が逮捕されたと同日付現地サイトが報じた。リベイロ氏はサンパウロ州海岸部サントス市に住んでおり、朝7時頃、連邦警察に連行された。
 今回の逮捕劇は、リベイロ氏が教育相を辞める原因ともなった国立教育促進基金(FNDE)を巡る汚職捜査の結果だ。
 同件は、福音派の牧師の口利きで、FNDEの資金が牧師達とつながりのある町の学校や幼稚園の建設費、スクールバスの購入費などの名目で不正に使われていた事などが取り沙汰されたもので、牧師達にも逮捕令状が出ている。
 リベイロ氏はFNDEの資金を回して欲しいと望む市の市長達との会合で、「大統領が依頼したから、二人の牧師が要請した市からの要求には優先的に応える」と語っていた。
 問題の牧師はアッセンブレイア・デ・デウス(アッセンブリー・オブ・ゴッド)教団のジルマス・サントス氏とアリルトン・モウラ氏。パラー州で3月に開催された教育省関連の集会では、参加した州内の市長や教育局長らに牧師二人やリベイロ夫妻の顔写真入りの聖書が無料配布された。この集会は同教派の教会で行われ、リベイロ氏と牧師達も出席していた。
 FNDEを巡る汚職では、教育省内に影の内閣(gabinete paralelo)が作られていた事や牧師達が自由に出入りしていた事、牧師達が資金の流れや同省内の日程などをコントロールしていた事などが報じられ、連警が捜査を続けていた。
 ボルソナロ大統領はリベイロ氏逮捕の報道後、「自分がやった事の責任をとるべき」と語った。この発言は大統領が3月に語った、「奴のためなら火中の栗も拾う」という言葉と矛盾し、メディアが一斉に批判している。
 また、汚職容疑での前教育相逮捕は大統領が繰り返す「現政権には汚職はない」との言葉にも反しており、選挙戦にも影響する事は避けられない。ボルソナロ氏の選挙参謀の中からは、「選挙前100日にして起きた津波」との見方も出ている。
 リベイロ氏は同日中にブラジリアに移送され、23日に収監前の聴聞を受ける予定だ。また、教育省や現教育相も家宅捜査の対象となった。

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