《ブラジル》OECD加盟審査を開始=ボルソナロ自信見せるも=税制改革と環境問題が課題

OECDの加盟国地図(公式サイト)

 連邦政府は25日、経済協力開発機構(OECD)から加盟の誘いを受けたと発表した。国際経済全般を協議するOECDは、一般的に「先進国クラブ」とみなされており、ボルソナロ大統領も加盟承認に自信を見せているが、課題は少なくないとみられている。26~28日付現地紙、サイトが報じている。
 OECDは25日、ブラジル、アルゼンチン、ブルガリア、クロアチア、ペルー、ルーマニアの6国の「加盟を協議する段階に入った」と発表した。
 加盟審査には時間を要し、すぐに承認されるわけではない。だが、ボルソナロ大統領は26日、OECDに感謝の意を示し、「2017年4月に加盟を申請していたOECDへの加盟に関し、私には何の迷いもない。ブラジルが審査を通過するのに十分な状況にあることを保証する」と語った。
 ボルソナロ氏はさらに、「ブラジルは世界経済の成長に貢献できるし、そのために貧困を終わらせることも可能だ」と語り、昨年11月に行われた第26回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP26)での「2050年までに温室効果ガスの排出ゼロ」との目標についても、「果たすように努める」と語った。
 ボルソナロ氏は大統領就任後初の訪米となった2019年3月に、トランプ大統領(当時)から「ブラジルのOECD加盟を推薦する」と言われ、大喜びした経緯がある。
 OECDには全世界38カ国が加盟しており、南米諸国でも、チリが2010年、コロンビアも2020年に加盟を果たしている。
 26日は、ボルソナロ大統領の他、シロ・ノゲイラ官房長官も、「我々はOECD入りの用意が出来ている」と発言した。だが、大統領や官房長官の言葉とは裏腹に、「OECDの審査は決して容易ではない」と見る向きが目立っている。

 最大の障壁の一つと見られているのがブラジルの複雑な租税システムで、これがブラジルがOECD入りできなかった理由とみられている。国際商業会議所(ICC)ブラジル代表のガブリエラ・ドーリアッチ氏は、「税制改革が行われない限り、ブラジルのOECD入りはありえない」と語っている。
 連邦政府側はOECDが連邦議会での税制改革の法案審議を急がせると信じており、上院でも2月から審議に取り掛かる意向だが、選挙年に国民への負担が増えかねない法案を議員たちが審議したがるかという大きな問題が残っている。
 加えて、環境問題への協力を強く求めるOECDに対し、国際社会からの森林伐採増批判には「干渉するな」と開き直り、COP26にも参加しなかったボルソナロ大統領が、国際的な約束を順守できるのかを疑問視する声も強い。
 大統領選候補のシロ・ゴメス氏(民主労働党・PDT)、アレッサンドロ・ヴィエイラ氏(シダダニア)、フェリペ・ダヴィラ氏(ノーヴォ)はこぞって、否定的な見方をしている。
 またルーラ政権時代の外相だったセウソ・アモリン氏(労働者党・PT)は、「OECDに入ったところでブラジルへの益は少ない」と分析している。

最新記事