「南米日本人発祥の地」は一八〇三年にロシア船に乗ってフロリアノーポリス港に到着した若宮丸の四人――とのイメージが強いが、史実をたどると、どうやらそうではないようだ。それよりも遙か以前、今から四百年以上も前に南米の地を踏んだ日本人の記録が残されている。日本とブラジルとの歴史的関わりを考える上で、ポルトガル(中世「南蛮」と称された)は欠かせない国だ。この三国関係を軸に、改めて日伯の歴史を俯瞰し、カトリック布教と大航海時代という背景の中で、日本人が四百年前にブラジルに来ていた可能性を検証してみた。将来を見通すには、その分、過去を知る必要がある。百年の歴史から日系社会の将来を考えるより、より長い歴史の中から日伯関係を俯瞰することで、日系社会の二百年後、三百年後を構想するアイデアの一助にならないだろうか。(深沢正雪記者)