豪雨で流される車から間一髪救助=英雄的な救出劇動画が話題に

 21日にリオ州バイシャーダ・フルミネンセ地区を襲った集中豪雨の犠牲者は、行方不明だった一人の死亡が確認され、合計9人に上った。この時に激流と化した道路で車の中に取り残された家族3人の命を、間一髪で助け出した青年の英雄的な行動が動画で拡散され賞賛を浴びる一方、この青年の自宅も浸水被害を受けていたと22日付G1サイト等(1)(2)(3)が報じた。
 マルコス・ヴィニシウス・デ・ソウザ・ヴァスコンセロスさん(20歳)は同州ノヴァ・イグアス市で21日の夜、バスで帰宅中に一台の乗用車が洪水で立ち往生しているのを目撃した。マルコスさんが乗っていたバスは通常路が冠水していたために、運転手は迂回路をとったがそこも浸水により故障したために、別のバスの到着を待っていたという。
 現場で「乗用車が激流に流され、車内には1歳の双子の赤ちゃんが乗っている」という叫び声を聞き、彼はすぐにバスのドアに駆けつけ、脇を流れ過ぎようとする車の車輪を自分の足で抑えた。少しでもバランスを崩せば激流に飲み込まれてしまいそうな状況で、マルコスさんはずぶ濡れになりながら双子の娘を乗用車から救出し、乗っていた母親も無事助け出した。
 マルコスさんは「車は僕の足からちょうどいい距離だったから、バスの乗降口から片足を伸ばして、車のタイヤにかけることができた。なんとか車のドアを開け、子供たちを腕に抱きかかえ、バスに乗っていた人たちに渡したんだ」と振り返り、「ただ命を救いたかったんだ」と話した。
 約5分間の素早い救出劇の数秒後、車は濁流に流された。
 自分の命も顧みず、懸命に救出活動を行ったマルコスさんの勇姿は近隣住民によって動画に収められ、SNSで共有され、多くの人々の感動を集めた。
 翌日、救出された家族が感謝を伝えるためにマルコスさんを訪問し、感動の再会を果たした。双子の父親ベルランジアさんは「ありがとう。私はもう一人息子を得ることができた。そして娘たちにはお兄ちゃんができた」と語った。
 マルコスさんのインスタグラムのフォロワーは以前700人程度だったが、26日現在すでに31万人を超えており、当時の様子や現地の被害状況などを発信している。
 被害の大きかった同ノヴァ・イグアス市では、115家族(約460人)が家を失い、マルコスさんの家や親戚の家も浸水の被害にあっていた。彼は自身のSNSに「心配してメールをくれたみんな、ありがとう。僕たちは無事だよ。神が全てをご存知だ」と書いた。

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