正面の祭壇には蝋燭の光に照らされたノッサ・セニョーラ・アパレシーダ(伯国のカトリック守護神)の小さな聖像を中心に、その左右にはキリストの十字架像、日本の観音(仏教)、神武天皇、数々の奇跡によりバチカンに福者認定申請中のドニゼッチ・タヴァレス・デ・リマ神父の写真や絵、アフリカ伝来宗教に由来する心霊主義の賢人パイ・ジョアンの聖像も祀られている。ブラジルらしい文化混交した不思議な〃結界〃が張られた室内では、7、80人の日系参加者が静かに厳かに祈りを捧げていた。その中心は、あくまで沖縄の伝統的信仰だ。教育の高い県系人ほどこの件を忌み嫌う傾向もみられ、取材はかなり難航した。精神世界における日伯融合の深奥を探ってみた。(児島阿佐美記者)
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