ブラジル日本商工会議所 化学品部会(厚地哲守部会長)の公式行事が6月12日、サンパウロ市ビラ・マリアーナにある川魚料理専門店「ランショ・リオ・ドッセ(Rancho Rio Doce)」にて開催された。
同行事は、化学品部会の親交を深めることを目的に毎年実施されており、今年も昨年に引き続き、同店にてコンサート付きで行われた。演奏は、プロのサックス・フルート奏者である島田愛加さんを中心に、カンピーナス在住の二宮由衣さん(ピアノ)、MUFGバンク・ブラジル頭取の柴田一志さん(オーボエ)、みずほ銀行取締役副社長で演歌バンドでも活動する内藤昌弘さん(ヴァイオリン)という編成で構成された。
いずれも音楽愛好家であり、さまざまな場で知り合った縁が今日の共演につながったという。この日のためだけのオリジナル楽譜が用意され、アルゼンチンやブラジルをはじめとする南米各地の楽曲が披露された。演奏者を含め、
当日は化学品部会の会員およびその家族・友人ら、計37人が出席した。

演奏会終了後、「チリンチリン」という鐘の音とともにピラルクーの丸焼きが登場。バナナの葉の上にのせられた体長1メートルほどのピラルクーを初めて目にした参加者の多くがスマートフォンを取り出して、記念写真を撮る姿が見られた。
同店オーナーで、1961年にサンパウロに移住した坂口功治さんが、ピラルクーについて「この魚は、1億2千万年の歴史を持つ淡水魚で、恐竜の時代の終わりから今に至るまで姿を変えていないとされている。インド洋に生息する古代魚・シーラカンスは4億年の歴史を持つが、煮ても焼いても食べられない。一方、ピラルクーは焼いても煮込んでも刺身でも美味しい、料理の三冠王とも言える魚です。ぜひ味わってほしい」と紹介した。

この日提供されたのは、約17キログラム、1〜2歳程度の養殖ピラルクー。まず頭部が外され、その重量は約3kg。電動ノコギリでも切れないほど硬く、その場でたたかせてもらうと、まるで石のような感触だ。しかし、煮込むことでゼラチン質が溶け出し、にこごりのようにぷるぷると固まるという。「捨てるところがない」と言われるほど、すべてが料理に使える魚だ。
同店スタッフによるとりわけがその場で開始され、一匹で約30人分となった。すべての皿に盛り付け終えるまでには15分ほどを要した。ピラルクーの腹部にはファロッファ(マンジョッカ粉)が詰められており、あらかじめ炭火で5~6時間かけてじっくりと焼き上げられた。
当日参加し、初めてピラルクーを口にした二宮さんは、「繊細な味で美味しかった」と笑顔を見せた。同じく初体験だった相場洋志さんも「肉食魚とは思えない味」と、その美味しさに驚きを隠さなかった。
なお、ピラルクーの丸焼きを注文するには、10営業日前の事前予約が必要。