11月5日夜、聖市のイビラプエラ講堂は拍手と熱気に包まれた。今は亡きオスカー・ニーマイヤーと共に、連邦政府が贈る最高位の「文化勲章」を手にした大竹富江さん(99、京都、帰化人)は、その夜最大の拍手を浴びた。それは富江さんを、国民の一人として受け入れた伯国民の素直な賞賛の表れだった。翌日各伯字紙は「大竹富江は、ブラジル・ヴィジュアルアートを代表する最も著名な人物の一人」とこぞって報じた。彼女ほどはば広くブラジル社会から敬愛された日本人女性芸術家は他におらず、しかも、今なお現役で21日に百歳の誕生日を迎える。意外と少ない日本語の記録を存命の間に残しておきたい、そんな思いで取材を始めた。(児島阿佐美記者)
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