「緑の地獄」といわれたアマゾンに日本人が入植してから、今年で八十年の年月を数える。一九二九年九月、トメアスー移住地に入った四十二家族百八十九人がその嚆矢だ。その圧倒的な自然を前に、欧米移民を始めとする開拓者らが屈するなか、ただ日本人だけがその類稀な勤勉さと地道な努力を両輪に、ピメンタ(胡椒)とジュート(黄麻)という二大産業を生み出した。地獄を天国に変えたその苦闘の歴史を振り返りながら、歩み続ける現地コロニアの将来を探る。