サンパウロ市から約二千三百キロ北にあるジュアゼイロ(バイーア州)とペトロリーナ(ペルナンブコ州)の両市は、ミナス・ジェライス州に発するサンフランシスコ川を挟んだ兄弟都市だ。一九七〇年代から国家プロジェクトとして進められた灌漑事業により、国内屈指の輸出ブドウ生産地に変貌を遂げ、カーチンガといわれるサバンナにも似た乾燥疎林地帯の中に蜃気楼のようにビルが林立する。一九八三年、コチア産業組合が募集した三十の日系家族がこの〃神に捨てられた土地〃に新たな夢を見てから四半世紀。現在では、二百家族、約七百七十人がブドウ、マンゴーなど果実栽培を中心に根を張る。サンフランシスコ川流域の日系人農家を訪ねた。(堀江剛史記者)