福島=第3回芭蕉白河の関俳句賞=海外部門でブラジル勢6人入賞

 福島県白河市が昨年開催した「第3回芭蕉白河の関俳句賞」の入賞作品が、同市ホームページ(http://www.city.shirakawa.fukushima.jp/page/page007040.html)で発表された。「家族」をテーマとした海外部門では伯国や米国、香港から153句が9月15日の締切日までに投句された。その中から選者の鈴木太郎さんと佐怒賀直美さんが「大賞」「特選」「秀逸」を1人ずつ、入選句を10句ずつ選出。入賞入選作品の多くを伯国が占めた。

 鈴木太郎選の大賞に「のどけしや祖母には日本語話す孫」(サンパウロ州 香山和栄さん)、特選に「老いて尚家族大事に春深む」(サンパウロ州 原はる江さん)、秀逸に「みんなして農に生きたり葱坊主」(サンパウロ州 浅海護也さん)が入賞した。
 佐怒賀直美選では大賞に「子の電話静かにやさし星月夜」(パラー州 大槻京子さん)、特選に「村中の家族の揃ふ拝賀式」(聖州 松本瑠美子さん)、秀逸に「移住とふ父の英断いわし雲」(ペルナンブーコ州 佐藤けい子さん)が選ばれた。
 日本国内では一般の部に917句、小中学生を対象とした「ジュニアの部」では4640句の応募があり、海外部門含めて総数5710句の応募があった。1月22日(土)には一般とジュニアの部受賞者に表彰式が同市で行われる予定。
 海外の部の受賞者には表彰式終了後に賞状や副賞が郵送される予定だが、郵便事情の不安定さを考慮し郵送方法を検討している。
【鈴木太郎選 入選】
◎コロナ禍の結婚式なく孫小春(SMアラカンジョ市 広瀬美智子さん)
◎百歳を祝う家族の春の宴(聖州 南山子さん)
◎移民の日今や家族も十五人(ミナス・ジェライス州 宿利憲生さん)
◎遠くきて家族をしのぶ長崎の夏(サンパウロ州 坂野智子さん)
◎辛き時我が家に帰り余花が咲く(南マトグロッソ州 伊藤みち子さん)
◎混血の孫も雑煮にかしこまり(ブラジリア 山根淳枝さん)
◎天瓜粉姉と呼ばるも一歳半(サンパウロ州 猪野ミツヱさん)
◎ナイフから祖父の口へと水蜜桃(米国マサチューセッツ州 宇佐美好子さん)
◎山焼や家族総出の入植時(ペルナンブッコ州 佐藤けい子さん)
◎五十才にて結婚せし娘や秋愁ふ(パラー州 三宅昭子さん)
【佐怒賀直美選 入選】
◎三ヶ国の持ち寄り囲み彼岸かな(サンパウロ州 西山ひろ子さん)
◎孫頼るメール投句や山笑ふ(サンパウロ州 須賀吐句志さん)
◎爺に似たと息子の自慢風光る(南マトグロッソ州 伊藤みち子さん)
◎月朧弟訪ね来ると言ふ(サンパウロ州 寺師幸子さん)
◎草を刈る母の形見の野良着きて(サンパウロ州 井上人栄さん)
◎のどけしや祖母には日本語話す孫 ◎暖かやにこにこ婿の薩摩弁(サンパウロ州 香山和栄さん)
◎日脚伸ぶ母へ欠かさぬ夕電話(サンパウロ州 長田美奈子 さん)
◎うららかや二人の孫にあたふたと(サンパウロ州 田中美智子さん)
◎被爆の身娘に支えられ冬ぬくし(サンパウロ州 武田知子さん)

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